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あの夜、マイアミでのkissenger800のレビュー・感想・評価

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)
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NHK大河ドラマがそうだけど、新選組がどういう運命を辿るのか。とか信長と光秀の終着は。とか(そう考えると1964年の東京オリンピックって前提知識の共有され具合がものすごく低かったのでは)(すみませんもう40年ぐらい大河見てないのでこの辺ぜんぶ適当です)要するに「教科書レベルでみんなが知っている」からこそ楽しめる系の作品。が第一印象でした。
もちろん優れたフィクションはすべからく「いろんなレイヤーで切ってもそれぞれが美味い」わけで、登場する4人のことをまっっったく知らなくてもそれなりに楽しめる作りにはなっている……と思うんだけど、知っていれば知っているほど、おお。ってなるのもまた事実で、たとえばサム・クックの「風に吹かれて」カウンター曲が、この作品も参照しているスパイク・リーのマルコム作におけるクライマックスで象徴的に使われていて、かつ、スパイクが「変革のときはきっと来る、ってサム・クックは歌ってるけど、曲を聞いて思うのは、そんなときが本当に来るとは到底思えない、っていう彼の絶望なんだよな」って語っていたこととか、まあいろいろ思い出しながら見ていました。
おおむねこういう舞台劇は映画評論家ウケはいいわけですが、ブラザー・マルコムのガード、カリームX役のランス・レディックは終始キアヌ・リーヴスを迎えるホテルのフロントの人にしか見えなくて、あれそんなに大きな役じゃないのにね? って謎の反芻を求められるなど俺の感想は相変わらずポップ・カルチャー寄りだったが特に反省はしない。
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