半兵衛

Helplessの半兵衛のレビュー・感想・評価

Helpless(1996年製作の映画)
3.5
無機質な日本の風景のなかで繰り広げられる突飛なバイオレンスという青山真治監督らしい暴力映画、現代日本の何かを失った人間たちと世界を凝視するかのような田村正毅の映像(冒頭の空撮が素晴らしい)がアクションというジャンルの範疇を超えて豊潤な映画に仕上げている。

それでもあの世紀末特有の空気感や浅野忠信の演技による90年代らしさの刻印の方が気になって映画に集中できず(彼が着ているシャツがいかにもあの時代らしい)、いかなる才人でも時代の変遷には抗えないのだなあと痛感させられた。それでもフィルムがある以上次世代の人たちの目に触れられ、新たな発見がこれからもされていくはず。

斉藤陽一郎が斉藤陽一郎的としか言いようのない独特な演技をしていて癖になる、そして伊佐山ひろ子と諏訪太朗というあまり行きたくない顔ぶれがいるドライブインのインパクト。

ただ「汚れなき障がい者」というキャラクターはあまり好きじゃないのでこの点数に。
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