山崎陽介

ローラ殺人事件の山崎陽介のネタバレレビュー・内容・結末

ローラ殺人事件(1944年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

フィルム・ノワールの一つ。プレミンジャーはこの作品で注目されるまではブロードウェイとハリウッドを往復していた。大戦末期の閉鎖的な雰囲気が伝わってくる。
 編集に関してひとつ気になった点がある。ローラがマークの目の前に現れるシーンで、ローラを映すクロースアップのショットが、少しぼやけて見える。しかし、このような編集は物語上でどのような効果を有するのだろうか。これは、殺されたと思われていたローラが実は生きていたということを、ある種の神秘性とともに語るために設けられたものなのだろうか。あるいは、マークがローラに対して抱いている恋愛感情を表現するためだろうか。ちなみに、マイクによるローラへの審問のシーンでも、これと同様の編集が見られる。二つのシーンに共通しているのは、マークとローラが二人きりでいるということである。すると、後者のほうが筋の通った理解のように思われる。しかし、そうであれば、ライデッガーのアパートからライデッガーが立ち去ったのちにマークが事件の真相をローラに話すシーンでは、なぜ同様の編集がなされなかったのか。
山崎陽介

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