このレビューはネタバレを含みます
フィルム・ノワールの一つ。プレミンジャーはこの作品で注目されるまではブロードウェイとハリウッドを往復していた。大戦末期の閉鎖的な雰囲気が伝わってくる。
編集に関してひとつ気になった点がある。ローラがマークの目の前に現れるシーンで、ローラを映すクロースアップのショットが、少しぼやけて見える。しかし、このような編集は物語上でどのような効果を有するのだろうか。これは、殺されたと思われていたローラが実は生きていたということを、ある種の神秘性とともに語るために設けられたものなのだろうか。あるいは、マークがローラに対して抱いている恋愛感情を表現するためだろうか。ちなみに、マイクによるローラへの審問のシーンでも、これと同様の編集が見られる。二つのシーンに共通しているのは、マークとローラが二人きりでいるということである。すると、後者のほうが筋の通った理解のように思われる。しかし、そうであれば、ライデッガーのアパートからライデッガーが立ち去ったのちにマークが事件の真相をローラに話すシーンでは、なぜ同様の編集がなされなかったのか。