映像の美しさや「スクリーンでクローネンバーグを味わう」という体験の価値を考えたら、劇場で観られたことは間違いなく意味があったなと思うのだけど…
登場人物たちが車両や事故(により生じた生々しい傷跡など)に欲情する動機づけというか、必然性があまり感じられなくて少し物足りなかった。
鑑賞後に車を見る目が、事故に対する感覚が変わってしまうくらいのインパクトを勝手に期待してしまっていたので…
トランス状態の時に頭の奥で響いていそうな、耳鳴りみたいな音楽はすごく好みだったし、クローネンバーグ作品の見どころのひとつ、「脈絡なく始まるあまり気持ちよくなさそうなセックス」も当然ふんだんに盛り込まれているのでそれらは楽しめました。