悪魔の毒々クチビル

ジェノサイド004の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ジェノサイド004(2020年製作の映画)
3.9
お前は誰だ?

東南アジアの小さな村に麻薬密売人達の殲滅の為、極秘に送り込まれた軍事用ロボの無差別殺戮をボランティア医学生グループが目撃してしまい狙われる事になるお話。

完全にアレな雰囲気のジャケですが、意外と評価高めで気になっていた今作、U-NEXTにあるじゃないの!ってことで早速視聴。

お、良いねこれ結構好きですよ。

まずロボットの外観はジャケの通りで全然詐欺ってはいません。が、数はしっかり盛っていますね。実際に送り込まれた数は4体です。
シンプルな見た目もあってか、CGの出来も充分及第点だと思いますし、子どももガッツリ殺される展開も目を引きます。
2時間ちょいある作品で、多分彼らの逃走劇のみだったらかなりダレていたと思いますが、劇中では只の試運転だと言われ実際に自らの手で殺しを命ずる事になるとは思っていなかった技術者3人や、秘密裏にロボットの性能をテストする企業やCIA等、あちこちで物語が展開していってこれまた意外と見応えがある。

また、4体のロボットの内1体がモジュールを失い自我に目覚めるという流れも面白かったです。
取り敢えず人体の構造を調べてみるか、と言わんばかりに死体の革を剥いだり脳を取り出してみたりと無機質な作業的ゴアが急に挿入されてオラびっくりしただ。
そこはしっかりやるのに、顔面踏み潰しやアイアンクローなんかは画面外なのね。

登場人物も主人公であろう村に滞在していた元海軍特殊部隊のメイソンを始め、人数自体は多めな反面分かりやすいキャラ付けがされていてそこも良かったです。
口だけ生意気な医学生のジョーダンが段々逞しくなっていったり、反発していたメイソンの過去を神妙な面持ちで聞いている姿が好感持てました。
村の子どもで1人生き残った少年リープも子役としては全然悪くなかったです。若干泣きすぎな気もしましたが、あれだけ不幸な状況に陥ってしまえばしょうがないか。
唯一知っているキャストはニール・マクドノーで、今回はデスクでめっちゃ怒っている役でした。

メイソンらの抵抗に加え、思わぬ自我を持ったロボットBR4の処理にも苦戦し焦る指令側や自らの行動に葛藤する技術者トリオ等、各々のストーリーをシリアスに纏め上げる脚本に中々嵌まりました。
終盤、ロボ同士のバトルや忘れた頃に訪れる地雷の恐怖、命の大切さを学ぼうとするBR4とメイソンのやり取りだったりとフックのある展開をしっかり用意してくれるのも有難い。

勿論気になる所も幾つかあってキャラの言動、特に追ってきたロボットが岩に挟まって動けなくなったのに誰も武器を奪わないのは流石にどうかと思ったし、まぁまぁ壮大な陰謀なんかを消化しきれずに終わってしまった感じはしましたが総じて良く出来た作品だったと思います。
ラストのアレも良いね。続編ある風だけど別に作る予定とかは無いんかな。
あとこれの前に観ていた映画が「RRR」だったので2時間という本来なら長めな上映時間が全然気にならなかったです。

もう少し世の低予算映画がしょうもないネタに走らず、こういう安定したクオリティを維持してくれんかなぁと思いました。