くりふ

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたちのくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【闘う黒子スター】

アマプラ見放題にて。劇場行くまでもないかと思い、何となく後回しにしていた。

スタントウーマン業、現場の基礎知識が得られ、生の声を聞けたコトはよかった。しかし構成は点描を並べたような散漫さで、像を結ばず、心にモヤッが残ってしまう。

権利関係が壁なのでしょうが、せっかく映画なのだから、実際のスタントシーンを事例としてもっと、入れてほしかったですね。スター的存在の方だけでも。それも、時系列で紹介されたらわかりやすいし、記憶にも刻まれやすい。語りばかりでは、なかなかね…。

仕事にプライドを持ち、本当に楽しんでいることが伝わる語りは、とてもよいのですが。

スタント業界が男性優位なのは想像つく。凄いスタント=男らしさの誇示、という刷り込みがあるだろうから。

で、やっぱり原点が気になるので、映画草創期はスタントウーマンが多かったのに男が仕事を奪った…という件、もっと掘り下げてほしかった。男らしさに拘るのは無意味、と証すのは大切だろうから。当時はパール・ホワイトなんてアクション女優も居たわけだし。

現場で力を示すことが第一だろうけど、アホな偏見に気づかせてゆくことも必要だよね。

パニック映画ブームでスタント需要が増えたって辺りから、リアタイとして頷けることが増えてくる。大地震描写などでは必要不可欠だしね。アクション映画でも、今ではスタントがスパイスだから必須。でも最近だと、トムクルがやりたがるコトなんかには、ただ呆れてしまう。

“馬鹿と煙は高いところへのぼる”などと言いますが…これ、彼のことだよね!

そんなことやって命を落とすのは、まさにバカ。偉くも何ともない。登場するスタントウーマンさんたちは、そこんトコわかっている人が多かったようだけど。

ひとつの答えなどないでしょうが、それが本当に物語に必要なのか?真摯に問うことは常に、必要なのでしょうね。命を天秤にかけるのだから。

『トゥルーライズ』のラストが丁寧に紹介されますが、あの開放感あるスタント、演じた方も凄い感動があったそうで、知ったこちらも感動!再見したら、より響きそうです。

ああいう体の張り方…命を張るのでなく…なら、今後も大歓迎なんですが!

<2023.10.18記>
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