山のトンネル

ラブ・クレイジー セックスだけの関係の山のトンネルのレビュー・感想・評価

3.5
【鑑賞後、最初に戻って見直したくなる映画!!!】
タイトルで見るのを避けがちな映画ではあるが、本作は男女の考え方のズレを巧妙に描いたヒューマンドラマである。恋愛をテーマにした他の映画と異なる点は"2組"の男女カップルを対比的に描写していること。たいていの恋愛映画は、1人の男性と1人の女性を軸に物語が進展していくことが多い中で、異色の作品といえる。2組のカップルを扱ったおかげか、本作は男女関係を複数の視点で見ることができる。男女関係に正解はないわけだが、お互いがすれ違った時に異性とどのように話し合うかを考えさせられる映画といえよう。

ちなみに、本作の原題は『Strictly Sexual』である。しかし、奇妙なことにこの原題は「副詞+形容詞」のみで構成されている。映画のタイトルではよくある手法かもしれないが、文法的には何か名詞をつけたくなる。つまり、学校で習う英語では「strictly sexual 〇〇」のように、〇〇に名詞がくるわけだ。

そこで、邦題を考えてみる。すると、邦題の『ラブ・クレイジー〜セックスだけの関係〜』は、おそらくこの物語の男女の関係"strictly sexual relationship"から取ったのだと推測できる。しかし、上記のように原題はrelationshipとは言及していない。
これは、視聴者に「strictly sexual 〇〇」の〇〇に当てはまるものを考える余白を与えたのではないだろうか。そうすることで、映画の解釈に幅を持たせる意図があったのかもしれない。
ぜひ、邦題にだまされず、中身を見てから自身で〇〇に当てはまるものを考えてみてほしい。
また違った映画体験になると思う。
とはいえ、品がない映画ではあるので、苦手な人は苦手かもしれない。

と、つらつら述べたが、原題が『Strictly Sexual』だけなのはタイトルが長すぎるのを避ける目的もあったと個人的には思う。

以下、ネタバレ
◎映画の中でスタニーが書いていた脚本について
本作の脚本は誰が書いているのだろうか?
リアルな男性観と男性目線の女性観から察するに、男の人かなと思っていたら、まさかスタニー役のスティーヴィー・ロングが脚本を担当していたとは🙄🙄🙄衝撃である。
物語の中で練られた脚本がそのまま映画の脚本になったとも捉えられる。
ある意味、この映画はフィクションではあるが、スタニー役のスティーヴィー・ロングの体験がベースになっているのかも😳😳😳

◎個人的に好きなシーン
→1:07:10あたりの男同士、女同士で異性についての考えを話し合うところ。
→女性同士が「男は好きって言わないよね」と話し合っている中で、男同士で「I love you, bro」というシーンはなんとなく現実感があったからか、ちょっと笑ってしまった。