スケープゴート
2019年 中国作品
父・リー・ウェイジエ(李維傑)、母・アユー(阿玉)、高校生の娘・ピンピン(平平)、幼い妹・アンアン(安安)の4人家族。父役のシャオ・ヤンを中心に4人のキャストがハマっていて、家族の一体感が感じらるのがよかった。舞台がタイなのもまたよかった。中国が舞台では、後半の展開にはなりづらいだろうから。
事件が事件を呼び、妻と娘を必死に守ろうとする父・ウェイジエの奮闘と、敵対する警察署長や警官の容赦の無さから、ひたすらウェイジエを応援したくなる。タイの街と自然や文化が入り混じった場面の展開も面白かった。
ウェイジエが考えたトリックの元となった『悪魔は誰だ』も今度観てみたい。
象徴的に現れる”山羊”。タイでも山羊は生贄、他人の代わりに罪を背負う存在(スケープゴート)なんだろうか。罪を軸に、本作を振り返ってみると、山羊のようにスケープゴートとなった人や人びとが浮かび上がってくる。かの国には、そういった人がたくさんいるんだろうとも想像させられる。
本国ではなく異国を舞台としたことで、描き出そうとした何か、エンディングシーンの言葉にできない何かの訴えが込められているんじゃないかと深読みしてしまう。