くま一家

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021のくま一家のレビュー・感想・評価

4.2
二男と劇場で。
アニメーション映画として満点な絵の動きで、特に本作はしずちゃんが輝いてた!
話の展開も非常に丁寧で、それぞれのキャラクターに合ったハイライトがあって、楽しめました。
元の作品はドラえもん映画史上屈指の名作だと思っているのですが、リメイクも大変良質な仕上がりで満足しました!のび太と同世代となった二男も満足できたようです。













以下、ネタバレ混みの所感。
ってゆっても、名作を37年越しのリメイクですし、ストーリー展開はもう御馴染みとして、過去作との比較を中心に。












・この作品が『ドラえもん』を初見という方でも分かるような、ひっじょうに丁寧な導入に好感を持ちました。いつもの面子、いつもの日常ではありながら、やはり子供を対象にする作品である以上、キャラクターの顔と名前、どんな性格なのかを紹介するパートは不可欠と思うが、コンパクトでスピーディながら過不足なく、キャラ設定とストーリー導入が並走して、数ある映画作品でも群を抜いて上手い!と感じました。
・本作中で数回描かれる「メカアクションシーン」は、もうこれ描きたくてこの作品を作ったんじゃないかと思えるほどの見せ場で、大変熱くなりました。藤子先生のスペースオペラ/アクション作品に対するその当時のご自身の興味と情熱の高さがこの原作および元作品にふんだんに盛り込まれていたと思うが、ここは見事に現代にアップデートされており、その意味で完璧なリメイクで藤子先生もお喜びではないかと思いました。
・元作品の白眉は、成長過程の無力感や未来への淡く苦い期待を内省的に表現した主題歌『少年期』だと思っており、本作の主題歌に同様のインパクトは少し荷が重い(好きな曲ですが、よりポップなアプローチを求められていると思う)かと思っていたが、本作のふいの挿入歌(※この文末にさらに離してメモしておきます)に、『少年期』とも主題歌ともまた違ったニュアンスでキャラクター達に寄り添った感情を表していて、ピッタリだ!と感じた次第です。
・本作のアニメーションは非常に絵がよく動いていて、特にキャラクターの表情が優れていると感じました。特にしずちゃんは艶かしさも生まれるくらい、この年代における少女と大人、あるいは勇敢さとたおやかさの移ろい揺らぐ様が描かれていたように感じました。
・ロコロコは造形を含めて非常に好きなキャラクターなのですが、やはり原作の藤子先生の画力とテンポがあってのもので、本作だと登場から「あんまりうるさくない」みたい。饒舌で立て板に水だがうるさい・ウザいから、「骨」のパターンがより共感できるギャグとして成立し、かつそれがクライマックスでの逆転につながると思う。本作で最初の「骨」の下りは、もう少し話を聞いてても良いかなって思う程度のタイミングだったしな…。(本作がより丁寧な作りなので、長い話されても案外受け止められちゃうテンポ感なのかも)
・冒険後のオーラスは、すっごく好きな完璧なオチでした。そりゃ塾の合宿行ってる場合じゃねぇよなぁ!(笑)


作品そのものの評価とは別かもしれないが、今本作の内容と鑑賞したタイミングから、ロシアのウクライナ侵攻を想起せずには観られなかった。ストーリーのラストで、主要キャラクター達の「自分にしかできない」等身大の行動と勇気に導かれるように、ピリカ星の住人の取った選択に、本作のつくり手達の未来と平和への願いがこめられているようで、(もちろん『〜2021』と題されたのち、コロナ禍等を理由に2022年春に公開された本作が、作られた当初に今の紛争を予期し得たはずはなく、なおさら)より普遍的に通用する想いとして、パピの演説が世界に響くように感じました。



見る前の期待値を遥かに超えてくる、映画としての楽しさと感動に富んだ作品で、最近の『映画ドラえもん』で抜群に好き!でした。出会えて良かったです。












※挿入歌:ビリー・バンバン/ココロありがとう
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