消費者

ノクタの消費者のレビュー・感想・評価

ノクタ(2019年製作の映画)
3.2
厳格なキリスト教原理主義者の父親の元で様々な制約の中で生きてきた39歳にして童貞で友達も少ないエルンスト
彼は40歳の誕生日を迎えるという事で悪友ティルにそそのかされ父の禁じられてきた誕生日パーティーを行う事になる
そのパーティーは父を恐れるエルンストに合わせ“健康的”に行われる予定だったがティルの連れてきた友人達やエルンストの従兄弟であるネオナチのKKKメンバー2人など曲者揃いで乱れた物となる
そんな中、エルンストはパーティーの目的でもある童貞喪失の為に連れてこられた女性、ノクタに酷く惚れ込むのだが段々と彼女の様子がおかしくなっていきパーティーは血に塗れた殺戮の場へと変貌する

そんな筋書きの物語だがまず面食らったのは素人のおふざけで撮影した作品かの様な極めてチープな作品の出来だ
POVやファウンドフッテージでもないのにまるでホームビデオかの様な仕上がりでスラッシャー版のトレイラーパークボーイズの様だった
そして本作の肝である不快描写の数々も想像以上だった
嘔吐、経血噴射、ヴァンパイア、ゴア、カニバリズム、ゲイのスカトロプレイ、ブラックメタル、ゾンビ、悪魔祓いなど思いつく限りの凄まじい描写が詰め込まれていた
まるで不快描写のバーゲンセールの様だった
はっきり言ってZ級としか言いようがないほど物語は荒唐無稽でチープなのだが次々に出て来る不快描写のおかげで飽きさせない作りになっている
そしてその描写のほぼ全てを担うノクタの正体である“経血ヴァンパイア”というパワーワードにも最早笑う事しか出来ない(キリスト教原理主義者の父に洗脳されたエルンストが天使だと惚れ込んでいる設定にも関わらず頬にピアスをしていて美人でもない女性が演じているのもめちゃくちゃで笑える)

そんな感じで徹底的に過激で下劣で非倫理的でナンセンスな事ばかりが立て続けに起こっているのにスラッシャーというよりコメディーとして観る方が正しい作品になっているのが凄い
血生臭くも下らないファニーゴアやブルデスの様な音楽とそのアートワークを無理矢理、映画にした様な作品なのでそれらが好きな人にはオススメ

「これどこの映画館で放映してくれんの…?」「ビデオスルーにしても誰が買うの?」と思ってしまう珍品スラッシャーだしもう一度観たいとは全く思わないが不思議と憎めない愛すべきクソ映画
消費者

消費者