近本光司

誰かの花の近本光司のレビュー・感想・評価

誰かの花(2021年製作の映画)
2.0
「誰かの花」という題はいい。団地のバルコニーから植木鉢こと頭上に落下して命を奪った花。その事故現場に誰かが手向けた花。あのひとを偲んで贈る花。そのタイトルの多義性と裏腹に、気合の入りすぎたショットや、空回りしている芝居のアンサンブル、何度か画面に姿を見せる小物の数々は、物語の多義性を損なっている印象を受けた。余白をつくろうと躍起になって、逆に余白が埋められてしまう自家撞着。末期の認知症患者を熱演した伊丹十三映画の常連脇役である高橋長英と、きりりと聡明そうな表情を見せていた村上穂乃佳はよかった。あの隣人の少年は Bad