Yutaka

冷血のYutakaのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
4.5
カポーティの原作はオールタイムベスト級に好きな小説なんだけど、かなり忠実に再現されていると思った。昔読んだ時の脳内映像をそのまま見ている感じがした。
それに加えて、クインシージョーンズのジャジーな劇伴。お洒落でもあるけど、淡々とした温度の低いジャズ劇伴はこの映画にピッタリ。モノクロの映像も渋くて最高だし、その画面の暗さが冷血を表す。
ノンフィクションの原作のリアリズムをそのまま引き継ぐ演出に余計なものは無く、洗練されていた。心理描写に関しても、妄想のシーンなどはかなり現実と区別無く描いていたのが凄く上手。犯行シーンの冷たさも原作通りの異常さ。
あの原作の映画化としてこれ以上のものは無いでしょう。暴力の冷たさ、人間の冷たさ、社会の冷たさを冷たく描いた傑作。
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