Balthazar

ピースメーカーのBalthazarのレビュー・感想・評価

ピースメーカー(1997年製作の映画)
3.1
STARTに基づいて廃棄処理される予定の旧ソ連の核弾頭が盗まれ…N.Y.の国連ビルで核テロ寸前、という、まさに90年代ハリウッドなテイストの作品。

思えば、あの頃は経済が破綻して混乱したロシアの杜撰な管理体制、極右勢力の台頭、ウクライナやチェチェンのブラックマーケットで実際に持ち出された兵器や放射性物質が闇取引されていたりと、こういうストーリーに一定のリアリティがある時代もあったのだ…。
『クリムゾンタイド』とかもそうだけど、この時期のハリウッドの悪役は大概、ロシアのクーデター軍とかセルビアの過激派民兵とかだったよね。

アル・カーイダがカミカゼアタックでN.Y.を震撼させて以来、いまじゃイスラム過激派が悪役No1の座に輝いてるけど。ハリウッドの悪役もその時代時代によって移ろうのだ。

ピースメーカー、ピースキーパーとは国連とその平和維持部隊のこと。
ユーゴスラビア紛争でNATOの空爆により故郷を破壊され、家族を失ってアメリカ並びに国連に対する復讐の鬼となったラスボスの外交官デューサンに共感できちゃうからなにやら困ったもので、物語の都合上やむを得ず、核の起爆が予定調和で阻止されてハッピーエンド!になにやらモヤモヤした感が残り、凄く残念に感じたものだ。
アメリカよ、他人の痛みを知れって思ったね。あなた方の傲慢な外交政策がいつか本当の核テロを招くだろう。その時、映画のように無事防ぐことができるだろうか?と。
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