140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ピースメーカーの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ピースメーカー(1997年製作の映画)
3.4
”ジャック・バウアーが来るまでは”

運行中の貨物列車から核兵器が強奪された!
アメリカが狙われている!!
そのときヒーローならどうする!?

シチュエーション式サスペンスアクションにおいて、核兵器を使用するのはある程度覚悟があってもいいですが、そこは超国家アメリカ合衆国様ですね。とりあえず話の”つかみ”に核兵器1つ爆破させるわけですから・・・

実際、話自体は面白いですし、テンポも悪いわけではないです。国家の危機を生み出したもの側の正”義”の部分も描いていますし、何せ中盤のカーアクションが良いです。カーチェイスでなく車の暴力を描く”カーバイオレンス”ですね。ジョージ・クルーニーが女性を助手席にイケメン式後方確認から何度も何度も車をぶつけまくるという荒々しい肉食系軍人役にピタリとハマっています。

しかし、今思えば”ジャック・バウアー”
ヤツの登場が、この手のシチュエーション式のアクションをすべて過去にしてしまったのですね。今回、ジョージ・クルーニーの吹き替えも当時ジャック・バウアーという男と出会っていなかった小山力也さん。

海外ドラマの代名詞と行っても過言ではない「24」の存在は、やはり24エピソードの中で大統領暗殺から、核兵器テロ、細菌兵器テロ、原発メルトダウン、エアフォースワンの撃墜、VX神経ガスの恐怖、そして大統領の陰謀など映画1本分のシチュエーションやギミックを焼畑農業の如く根こそぎ消費していく暴君のような存在だと感じます。リンプ・ビズキットやリンキン・パークがミクスチャーロックを追いやったように、ゲルマン民族大移動のように・・・

この時期だからこそ、ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマンという豪華キャストでこんな大仰なアクション映画が出来たのでしょう。今ならもう少し低燃費にやるか、”人間核弾頭”ことドルフ・ラングレン兄貴が主役を務めるイメージでしょう。

今やハリウッドはコミックヒーロー頼みで、この手のギミックやジャンル任せのアクションはドラマ枠に追いやられたような哀愁すら感じます。

「ダイ・ハード」「ザ・ロック」のようなメガ盛りアクションとまではいかなくても、「ブロークン・アロー」とか「暴走特急」のようなちょうど良いアクション映画がまた見たい気持ちをそそる映画です。


そういえば、人生初のニコール・キッドマンが今作でした。
今見ると、PCを見つけるニコール・キッドマンに「シン・ゴジラ」の尾頭ヒロミを見てしまうのです。