意識して積極的に観るようにしているドキュメンタリー映画を観てきました。
観終わった率直な感想は?
キャラクターが独り歩きしていく過程をネット文化の変遷とリアルな社会情勢がリンクしていく姿にドラマ以上の運命のアップダウンを感じて大変興味深い。です。
これは、大変面白かったです。
カエルを擬人化したキャラクターの漫画をネットに投稿した事をきっかけに、当時の匿名掲示板によって、拡散、二次使用されていき、ネットの隆盛とともに盛り上がりを見せ、やがては政治にまで利用されていく様を描いていきます。
この盛り上がりのプロセスとして、掲示板のコミュニティからSNSへさらには実社会にまで至るダイナミズムの見せ方が見事で、時代を振り返りながら楽しむ事もできますし、その時々の画像や映像とともにフラッシュバックしていくことで、全然知らなかったキャラクターが愛おしく見えてくるのも不思議な感覚でした。
さらに映画を興味深くしてくれたのが、映画の展開やインタビュー音声にリンクした形で、カエルのキャラクターのぺぺがアニメーションで動きまわり、退屈させない創意工夫が施されているところです。
あと、細かい配慮としては、漫画がベースということで、白い紙を映し出すシーンが多いためか、字幕の文字が薄い黄色みがかった色に配色されていて、見やすさに一役買っていて、そういう心遣いも大事にされているのも好印象でした。
終盤には、キャラクターと作者の向き合い方に帰着していくのも、ネット社会との関わり合いに通じるものがあり、安直な情報の公開に対して、拡散の怖さに警鐘を鳴らす意味でも、極端な例ではあるものの、すばらしい題材であり、ドキュメンタリー映画としても、一見の価値がある作品として、心に深く残りました。