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彼女来来のYUIのレビュー・感想・評価

彼女来来(2021年製作の映画)
3.8

コロナ禍で映画館に行けず‥やっと行くことができ舞台挨拶回の上映で鑑賞しました。 本当に嬉しくて、やっぱり映画館って最高!としみじみ‥


⚠️以下ネタバレを含む内容がありますのでご了承下さい⚠️


ある日、彼女のマリが消えた。代わりに部屋にいたのは知らない『マリ』と名乗る女。

なんだろう、とても不思議な映画で、映画の内容を議論するよりも映画という物質について語るべき映画だと思いました。と、いうのも内容は特に複雑さもなく、まあ主人公の男性はクズやろうだ!と特に女性は憤りを感じてしまうかもしれませんが、それよりも、撮影技法や役者をどのように映し出すのか、という点に目が行くのです。

マリを演じる2人は、顔は似ていないのにシルエットは似ているんですよね。トークショーで行定監督が言っていましたが、影で顔が見えない状態でマリを映す時、果たしてどちらの女性にするのが良いのか、これがまた難しい点ですし、人によって意見が分かれるのかもしれません。なんなら、顔が見えないならどっちでも良いじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、絶妙な違いで鑑賞する側の感情は変わると思います。


そしてこの映画の1番好きな点は何としても風景です。郊外(撮影地は仙川だったようです。『花束みたいな恋をした』に引き続き京王線沿い!運命を感じてしまいました)の、閑静な住宅街や、河岸、歩道橋、そして古びたアパート。その一つ一つが自分の記憶の中の情景と重なり、映画の世界へ深く入るような感覚になります。山西監督は元々舞台をやっている方だそうで、今回の映画は風景のコントラストをより強く映すようにしたそうで、その風景一つ一つが撮影技術とマッチしてエモーショナルになるのですね。

ただ、一つ気になったことが、なんで紀夫と茉莉はわざわざ利き手がぶつかる方の椅子に座っているのだろうか?ということですね笑 左利きの人間はそういうところに目がいってしまいます‥


山西監督と行定監督のトークショーも聞けて、良かったです。
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