kuu

ブレット・トレインのkuuのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.4
『ブレット・トレイン』
原題 Bullet Train.
映倫区分 R15+.
製作年 2022年。上映時間 126分。
作家・伊坂幸太郎による『殺し屋シリーズ』の第2作『マリアビートル』を、デビッド・リーチ監督がブラッド・ピット主演でハリウッド映画化したクライムアクション。
共演にサンドラ・ブロック、アーロン・テイラー=ジョンソン、真田広之ら豪華キャストが集結。

いつも事件に巻き込まれてしまう世界一運の悪い殺し屋レディバグ。
そんな彼が請けた新たなミッションは、東京発の超高速列車でブリーフケースを盗んで次の駅で降りるという簡単な仕事のはずだった。
盗みは成功したものの、身に覚えのない9人の殺し屋たちに列車内で次々と命を狙われ、降りるタイミングを完全に見失ってしまう。
列車はレディバグを乗せたまま、世界最大の犯罪組織のボス、ホワイト・デスが待ち受ける終着点・京都へ向かって加速していく。

白と黒のイギリス人の殺し屋レモンとミカンの不幸なコンビは、紛れもなく名作『パルプ・フィクション』を意識してると云っても過言じゃないかもしれない。
また、今作品は多くの巨匠たちの足跡を辿ろうと試みてるのも観て取れる。
しかし、デビッド・リーチ監督は、タランティーノが決してなし得なかったこと、つまり暴力とコメディを絶妙なバランスで融合させ、純粋なエンタメ作品を作り出したと思います。
どちらも甲乙は付けれないし、劇場で観た、観てない感情もあるやも知れませんが。
今作品を観ると、何層にも重ねられたケーキに舌鼓を打つような気分になりました。
戦闘シーンのジャッキー・チェンのスパイスは美味しく、ピットの演技は信じられないほど巧みでした。
今作品のインタビューにデヴィッド・リーチ監督は、展開されるアクションシーンでは、“痛み”を表現するだけでなく、“軽快さ”をもたらすことが重要だったとのこと。
ジャッキー・チェンといえば、コミカルなパフォーマンスとスタントなしのアクションで圧倒的な爽快感と軽快さを演出する俳優。
(今作品ではスタントコーディネーターのグレッグ・レメンターによると、ブラッド・ピットはこの映画で95%のスタントを自分でこなしたという。)
そんなアクション・マスタージャッキを参考したのだと云う。
『フィジカル・コメディが少しだけ入っています。バトルはキャラクターを引き立てるもの。この超密閉された空間で楽しむためにここにいるのです』と、リーチ監督は説明している。
終始歓声をあげそうになってしまうほどでした。
コロナ禍じゃなきゃ間違いなく歓声をあけてました。
今作品は将に荒唐無稽な創造性の中心にある。
また、裏切り、腐敗、誤解、権力、そして復讐についての映画でもあると思います。
ダークでユーモアに彩られたアクション映画で、大勢の不道徳な人物が、心の中でとても大切にしているモラルと向き合うことも個人的には出来ました(ちょいオーバーかな)。
とても騒々しく、レールから外れており、登場人物たちを混沌とした狂気の中に置きながら、じっくりと彼らを理解することができたし、すべてがわかったと思った瞬間、さらに倍返しで、思いがけない方法で明らかにされる多くのカードで驚かせてくれました。
さらに、すべての登場人物を巻き込んだ残酷なまでのバイオレンス・アクション・シークエンスは、独創的な工夫が凝らされてました。
その中で、常に驚異的なブラッド・ピットが演じるレディバグは、信じられへんほどの不運に見舞われながらも、皮肉にも生き残ってしまう暗殺者。
彼はいつも映画の中では信じられないほどの不運に見舞われているが、皮肉にも生き延びた。
落ち着いてやり過ごすことの延長線上にある彼は、ハンドラーのマリア(サンドラ・ブロックの声)から、ある大きな(しかし非常に単純な)任務を遂行するために仕事に戻るよう呼びかけられる。
新幹線に乗り込み、ブリーフケースを盗み、脱出する。
しかし、レディバグは降りようとするたびに、不幸にも他の暗殺者の仕事に巻き込まれ続けてしまう。
双子のタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)とレモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は、『白死病』と呼ばれる謎の人物の息子である『息子』(ローガン・ラーマン)と一緒に行動している。
そして、プリンス(ジョーイ・キング)。
彼女は無邪気な女子高生のように見えるが、人を操る冷酷な人物で、物語のほぼすべての出来事の原因となる。
次に、息子を昏睡状態に陥れた人物に復讐しようとする木村雄一(アンドリュー・コージ)。
そして最後に、個人的な理由からてんとう虫に復讐しようとするウルフ(プエルトリコのポップスター、ベニート・A・マルティネス・オカシオ、別名バッドバニー)。
誰が生き残るんか。
誰が失敗するんか。
スーツケースを持って列車を降りたのは誰か。
そして、列車が最終目的地に到着したとき、
"白い死 "
との出会いを避けることができるのは誰なんか。
『アトミック・ブロンド』、『デッドプール2』、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のリーチが監督した今作品は、とても楽しかったです。
先日読了した伊坂幸太郎の素晴らしい小説(原題は『マリアビートル』)を基にしたザック・オルケウィッチの忠実な脚本は、ガイ・リッチー、クエンティン・タランティーノ、コーエン兄弟に通じるキャラ主導の陽気なコメディとこのジャンルで期待される血生臭いハイリスク・アクリションのバランスをうまくとって巧妙かつ鋭いものにしていました。
また、てんとう虫や他の登場人物が、人生や運命への対処法をこぼしながら、互いに理屈をこねようとするので、奇妙に哲学的でもある。
また、この手の映画とは思えないような俳優陣のカメオ出演にも驚かされる。特にピットは、『ロスト・シティ』でのカメオ出演や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でのオスカー受賞以来、これほどまでにスター的なカリスマ性を発揮したことはないやろな。
待ち望んでいた映画でした。
帰りに最近出来た横浜家系ラーメン 魂心家 魂心家が、タイアップキャンペーンってのがやってるし、行って食って帰る予定してたが、映画が終わるころには興奮のあまり胃が痛くなったしおとなしく帰りました。
kuu

kuu