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ブレット・トレインのSSSのネタバレレビュー・内容・結末

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

 伊坂幸太郎の『マリアビートル』が『ジョンウィック』、『デットプール2』のデビット・リーチにより映画化。
コロナ禍により日本での撮影はできなかったため、純度100%の“トンデモジャパン”が描かれる。主演はブラット・ピット、共演にアーロン・テイラー・ジョンソン、ブライアン・タイラー・ヘンリーや真田広之など多数キャストが出演。

良かった点
・新幹線という閉鎖空間でもダレない画作り
6車両の新幹線で各客車に特徴(ファーストクラスみたいなグリーン車や食堂車まである)を持たせているとはいえ2時間ではダレそうなものだ。だが流石はテンポのよいアクションを描くことに長けているリーチ監督だけあって、アクションだけでなく各登場人物の回想を交えた紹介シーンでメリハリの効いた画面作りがなされている。

・ほぼ原作通りの構成
大抵の小説の映画化は映画という媒体に最適化するため、大胆に構成や人物のリストラなどするものだが本作はトンデモジャパン化させてるわりに原作のエッセンスはわりとそのままで映像化しており舌を巻く。

・SCREEN Xとの相性の良さ
『新感染』でも感じたが新幹線の車内という閉所だからこそ3面のSCREEN Xとの抜群に良い。しかも本作は体感2/3が3面表示なので追加料金を払った甲斐があるというもの。SCREEN Xや4DXはIMAXと異なり映画試聴体験アップデートの王道扱いはされないものの本作のような作品がもっと提供されればこのフォーマットの良さも周知されると思うので頑張ってほしい。

賛否両論点
・トンデモジャパン
昨今のホワイトウォッシュやらポリティカルコレクトネスにより世論が騒がしい。本作も日本原作で登場人物のほとんどが日本人である原作に対して日本人は真田広之や福原かれんくらいで他はほとんど別の人種に置き換えられているので避難を浴びているらしい。個人的にはトンデモジャパンは大好物だし面白ければなんでもいいと思うが、米原駅の秘境っぷりや無茶苦茶な日本描写が気に食わない人は気に食わないかもしれない。

悪かった点
・日本語会話シーンに字幕がないこと
エルダー役の真田広之はともかくキムラ役のアンドリュー・小路の日本語が拙いため、一部のシーンで何を話しているか聞き取り辛かった。雰囲気でわかるので問題ないといえばないのだが。

・福原かれんが本当にモブだったこと
ワゴン販売添乗員役を務める福原かれんも実は殺し屋(たとえばホーネットの相方)かと期待していたものの本当に単なる一般人だった。こちらが勝手に期待しただけだが実は手練れパターンであったほしかった節はある。

総評
伊坂幸太郎作品にみられるテンポのよい会話劇が本作においても遺憾無く発揮されており、面白いストーリーと小気味良いアクション、豪華な俳優陣を用意すればヒットするぜ!というハリウッドの王道を見た気分になる。暴力描写が目立つが嫌悪感を抱くタイプのそれでなくむしろコメディとして映るので人によっては極上のコメディ作品である。
また、カメオ出演なのに相変わらず下品な役回りをウキウキで演じるチャニング・テイタムなど見どころは多い。
余談だが本作の天道虫(ブラット・ピット)の特性は明らかに『デッドプール2』でドミノ(ザジー・ビーツ)そのものな表現で笑ってしまった(ザジーはホーネット役で出演してるし)。そもそも本作の印象が「ライアンレイノルズをブラピに置き換えたデビットリーチ作品」というイメージで臨んだので、まんまの役回りでのカメオ出演に笑ってしまった。
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