くまちゃん

ブレット・トレインのくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

伊坂幸太郎の作品はどれも東北を舞台にすることが多い。
今作ももともとは東北新幹線が舞台だったのが京都行きの東海道新幹線(を元にしたと思われる)に改変されていた。海外では東北より京都の方が知名度、人気共に高いためだろうか??
原作者の在住の地ということを踏まえると伊坂ワールドの聖地と言える舞台の変更は伊坂幸太郎への敬意という意味で釈然としない。

デビッド・リーチと言えばスタントマン出身ということもありアクションに定評がある。「アトミック・ブロンド」では激しくキレのあるアクションが映画ファンの耳目を集めた。
しかし、今回はアレを求めてはいけない。
アクションは申し訳なさげに添えられているだけ。
ブラッド・ピット本人がアクションをこなしているのならもっと迫力とキレを出すことも可能だったはず。
ブラッド・ピットのスタントダブルだったリーチ監督なら尚更だ。
おそらくそれは、伊坂幸太郎の十八番とも言える群像劇が軸になっており、全体の雰囲気と漫画的なキャラクター性を重視した結果だろう。

アクションそのものも、手近にあるものを使用したり、コミカルに倒したり避けたり、明らかにジャッキー・チェンオマージュが散見している。
マッチョなリーチ監督作には中々珍しい殺陣のチョイスに、アクションのプロとしての引き出しの多さが垣間見られる。
作品ごとにアクションの質を変えることで全体的に調和がとれ、不運なレディバグとの親和性も高い。

ロバート・ロドリゲスやクエンティン・タランティーノ、ガイ・リッチー等を彷彿とさせる俗っぽいスタイリッシュさが充満しており、良い意味でデビッド・リーチ味がない。
CGやセットを駆使して創られた東京の街並みと駅と列車内。
毒々しいネオンが燦然と輝く風景はまるで香港のよう。

戦いの最中、他の乗客はどこに行ったのだろうか?そもそも客が少ないが。

運命や因果応報が核としてあり、死亡した殺し屋は皆自身の凶器により絶命している。
首を撃たれたれもんと防弾チョッキで助かったみかんの対比は運命というより皮肉でしかない。

チャニング・テイタムやサンドラ・ブロックなど豪華俳優陣がカメオ出演しているが、驚くべきは一瞬だけのライアン・レイノルズだろう。
ブラッド・ピットが同監督作「デッドプール2」に出演したことからライアン・レイノルズが「アダム&アダム」の撮影の合間に出演との事だが、おそらくそれだけではない。デビッド・リーチ監督のライアン・レイノルズ好き過ぎ問題が根底にある。
「デッドプール」だけではなく「ワイルド・スピードスーパーコンボ」にも出演していたことから間違いないだろう。

字幕での鑑賞はブラッド・ピットの流暢な日本語「ドウモアリガトウ」が聞ける。最近のハリウッドは日本語も必須なのだ。

今作を面白いと感じた方々には「名探偵コナン緋色の弾丸」への批判は二度と口にしないでいただきたい。
くまちゃん

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