どうしよう。何も思い出せない。あんなに楽しかったのに。若い頃のタランティーノを思い出してさえいたのに。
おいしいものを食べて、そのときの味や食感が永遠に記憶に残ることってあるでしょ? 初めてハーゲンダッツを食べたこととか、渋谷のガレットリアのガレット&クレープとか、法善寺横丁の浅草のてっちりとか。今後、同系統のものを食べたときのベンチマークになるような食の原体験。
反対に、食べてるときはその旨さにめっちゃ興奮したのに、うんこになって外に出たら、味も気分もなにひとつ残ってないってのもあるじゃない。ドトールのミルクレープとか、堂島ロールケーキとか。
ブレット・トレインは後者。それはもう間違いなく後者。役者のキャラもちゃんと立ってたし、絵も決まってたのに後者。
鑑賞直後なら3.9くらい付けてたと思う。たぶん。アガってたし。でも寝て起きたら何も残ってないや。酔っ払ってたのか? いや、一滴も飲んでない。おかしいな、伊坂幸太郎の風が吹けば桶屋が儲かる的な緻密な作風は、細かなパーツが各々補完し合い、印象に残ることこの上ないのに。うーむ、印象に残らない興奮と記憶に刻まれないストーリーに何点付けたらいいんだろう。
まあこれだけは自信を持って断言できる。ぼくは快感をもって映画一本をその場限りで消費したと。あれ、褒めてないか。
ちなみに冒頭でプラピを轢きかけたトラックは最後に出てくるみかんトラックだよ。それはどうでもいいかw
もう一度あの興奮を味わいたいか、また観たいかと聞かれたら…答えはNOだ。