NowLoading

ブレット・トレインのNowLoadingのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.8
 本日の一本。

 高速列車というシチュエーションを利用した約2時間の旅を殺し屋達と道中を共にしよう。見たことある車窓がまずウケる。御茶ノ水から秋葉原を跨ぐ高架線とか、新宿から大久保に至る甲州街道の交差点だとか。普段アニメやドラマで見慣れているからこそ使われるとオタクの気質がうずく。とはいえそこはどうでもいい。

 最近はCGで世界中を渡り歩くアクション映画ばかり観てきたので列車内だけで完結する映画はどうかな?面白いかな?と半信半疑になっていたが観てから解るこの安心感。ここ何処なんでしょうかといったことはない。東京〜京都間のどこか、というだけだからだ。そして集められる曰く付きの世界中の人達。よく乗れたなと思う暗殺道具をこれでもかと見せびらかしてくれるサービス感が良い。とにかく楽しめ。考えるな、感じろと言ってくれているのだ。

 言わば、これは演劇を観ているような感覚で鑑賞できる。劇場から舞台を観ると、大道具小道具を並べたステージに役者が演技しているだけなのかもしれない。でもそこで演技をハツラツと行う役者が輝いていると、あら不思議まるで自分達の観ているステージが高速列車の中に見えるようになる。たとえそれが我々の知る東海道新幹線でなくても。

 こうして観ると彼らの掛け合いに集中できるので役者力が試されるような映画でしっかりと存在感を見せる出演者の面々は素直に素晴らしい出来栄えでした。極大化だけが映画じゃない。コンパクトでも面白ければ芝居として成立するんだと今一度思い知らせてくれる作品。
NowLoading

NowLoading