沖田遊戯

ブレット・トレインの沖田遊戯のレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.7
悪"運"千里を走る-


この映画には果物と虫と動物と王子様が出ます。そして全員殺し屋です。


伊坂幸太郎の人気小説「マリアビートル」をハリウッドが映画化するという一報を聞いた時困惑した。
「伊坂がハリウッドに…?主演はブラピ……?」出来上がった今作を観て困惑は倍増した。なんだこれ。ゆかりってなんだ。ていうか新幹線って英語でBULLET TRAINと言うのか。なんで着ぐるみの化け物が当たり前に車内にいるんだ。

観れば観るほど分からない、しかし一番分からないのはこの映画がべらぼうに面白いことだった。
なんでこんなラリったどんちゃん映画が面白いんだよ……支離滅裂で破天荒な展開が後半につれて綺麗に整っていく気持ちよさ。
スナッチのテンポ感とキル・ビルの世界観が融合したようで確実に香る伊坂幸太郎の匂い。

全部詰め込んでいるようで実は無駄を削ぎ落としている構成が上手すぎる。

軽妙な絡みで絶大な信頼感を感じさせるバディレモン&みかんや、狡猾な立ち回りで大人たちを掻き回すプリンスなどのキャラクター造形の面白さ。そしてなにより情けなさとプラピのカリスマ性によって絶妙な魅力を孕ませるてんとうむしが最高。


帰りに乗ったいつもの電車が少しだけ速く感じた。
沖田遊戯

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