映画太郎

ブレット・トレインの映画太郎のレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.5
原作未読。

個人的には、いい意味で圧倒的タランティーノ大好き映画に見えた。冒頭からそう見えると常にタランティーノらしさを見つけようとする自分がいた。

おかしな新幹線はキル・ビルの刀を持ち込める旅客機。

白人と黒人の殺し屋コンビは、パルプフリクションのジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソン。機関車トーマスの引用はサミュエル・L・ジャクソンの聖書の引用。

日本刀の真田裕之はキル・ビルの千葉真一。

白い死神は見た目がキル・ビルのビル。

日本の古い歌はキル・ビル。

バラバラな時系列。

今作はハリウッド映画にありがちな、おかしな日本描写のみでできていると言ってもいい。そもそも正しい日本描写で嬉しいのは日本人だけだ。中国と日本の区別もつかないような欧米の人達は、なんとなく日本ぽい世界観の方がわかりやすい。
今作はそんなおかしな日本描写を完全に振り切っている。ある意味、東アジア辺りにある架空のニホン国のファンタジーとして受け入れてしまうと振り切り方が気持ちいい。それはバットマンのゴッサムシティはどう見てもニューヨークだし、ゲーム・オブ・スローンズのヴェスタロスは完全に中世イングランドであることに近い。

いろいろなレビューを見ると、ガイ・リッチー監督ぽさを感じる人がいたり、本作の監督であるデヴィッド・リーチの自作からの引用を見つけることができたり、そもそも、原作がタランティーノっぽいと感じる人も人もいる。そうやって、観た人が何かしらの引用を見出す事が楽しい映画なのだ。
そうは言ってもアクションコメディーとしての完成度は高いので、おかしな日本描写を受け入れられれば十分楽しめる作品になっている。
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