Horace

ブレット・トレインのHoraceのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.2
65点

内容としては東京から京都に向かう新幹線に大量の殺し屋が乗り込んでそれぞれの目的のために戦う、というもの。ずっと殺し合いをしているのだが、それぞれの背景が途中で語られ、なおかつそれが伏線となってあとで回収される。どこまでが伊坂幸太郎の原作通りなのかわからないが、かなり複雑な作りになっている。
これがヒットの一因だろう。深読みすればするほど楽しめるし、単純にアクションを観るだけでも十分楽しい。新幹線の中で戦っているだけとはいえ、マンネリにならないようにかなり練っている。

おおよそ殺し屋の話なのだが、よくよく考えると社会の縮図のようである。
孫請けの孫請けの、みたいになっていて雇い主がよくわからなかったり、結構漠然とした指示で仕事をさせられていたり。そしてみんなあわただしい。今の仕事は打ち合わせやメール、なにかをしているときにスマホに着信、と息をつくひまもなく、複数の作業を同時に進めなくてはならないことも多々ある。
殺し屋も会社員も同じ、とは言わないが、少なくとも本作はそういう意図があるのではないか。
誰もが生きる理由があって生きている。同時にみんな自分のことで一生懸命で、まわりのことが目に入らない。

勘違いしている日本の表現というのもうまくて、ダサかっこいいデザインが印象的だった。

こういう娯楽に徹した作品というのも、観ていると発見があるものである。
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