カフェインと猫

ブレット・トレインのカフェインと猫のレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.8
最近、やたらと涙もろい。
幼稚園児がキャッキャ言いながら親御さんと遊んでいるのを見るだけで泣きそうになる時もある。それなりに齢をとってしまったという事なんだろう。
散歩しててヘッドフォンで聴いていた春ねむりの曲に感情が揺さぶられウルウルしながら家に着くと、TVで号泣必至の番組をやっていて、それはもう号泣するに至った。
これはまずいと思い、ひとまず感情を落ちる所まで落とす決め、宮沢賢治の『よだかの星』を読むも三分の一も読まないうちにもう辛すぎて心が悲鳴をあげそっと閉じる。
次に絵本の『セミ』を読み、ちょうどよく心がドヨンドヨンになり落ちる所まで落ちたので『ビバリーヒルズ・コップ2』のサントラを聴きながら能天気に風呂に入り、なんとか正常な心を取り戻した。
しかし、正常なまま、では物足りない。
何か映画を観て頭を空っぽにしたい。

ここで自分的に頭を空っぽにする映画に大事な条件。
1「登場人物の誰一人にも感情移入できないこと」
2「現実味が無いこと」
3「爽快感があること」
4「観賞後あんまり余韻に浸らないこと」

本当は『なんちゃって家族』か『レザボア・ドッグス』かなとも思ったんだけど、ちょっと今回の条件から外れちゃうのでパス。

となると、この映画が手っ取り早い。

1から4全て当てはまっちゃう。
1。登場人物みんな殺し屋なので、全く感情移入できず
2。日本を土台にした「日本をデフォルメしたどこか」の国、もしくは並行世界の日本が舞台(僕はそう思い込んでいます。というか、最初に「キムラ」のテロップが出た時点で「これはそう思い込むしかないな」ってなりました)なので現実味が皆無
3。殺し合いにスカッとします
4。悪口ではなく深い余韻は残りません

こりゃバッチリだ。まんまと頭を空っぽにすることに成功いたしました。
これ原作と変更点いろいろあるんで、これはこれでもう別物と考えて向き合う事をオススメします。
で「変な日本」問題なんですけどね、僕もリアリティのある作品で誇張された日本が描かれていた場合は「え?なにこれ、ふざけんな」ってなります。
でもこの作品は、なんていうかもう振り切っちゃってるから。ゲームの「ストリートファイター2」みたいなもんです。
あのゲームやって「リュウみたいな日本人なんかいねぇよ」とか「これ日本じゃねぇだろ」とか言う人いないと思うんですよ。
エンターテイメントの世界でのイメージを凝縮した日本だから。
この映画もそれをツラヌきまくって作った日本という世界。
だからね、楽しみましょうよ。エンターテイメントを。
楽しんだもん勝ちなんだから。