kota

僕たちは変わらない朝を迎えるのkotaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

言葉はいつも追いつかない。今ここで、伝えるべきときに声にならない。
息苦しいほど胸を占める想いは、喉を通らず、重力に沈んでいく。
それでも時間は過ぎて、そこで、行動を選ばなくてはならない。伝えないまま、伝わらないまま、交わせないまま。
うまくいかず、うまくできず、整わず、何度も言葉を飲み下す。伝えたいことがそこにあるのか、どこから語り出すべきなのか、最初の言葉も、そこに続く言葉も見つからないまま。
せめてその心を作品に表せればと思ってみても、書き出したそばから、言葉が心を取り繕いはじめる。美しくはないもの、相反するもの、その時々の偶然、過去から連綿と形成された自己と他者、そんな複雑な交差の中にあるというのに、ノイズも含みも捨象されて、小慣れたシナリオに納まっていく。
自分を剥き出しにすることはないから、晒した先の不安を味わうことはないけれど、今の殻に籠り続けることで、ずっとそこに留まり続ける。
交わせなかった言葉、向き合えなかった関係、踏み込めなかった一歩。その先に少し進んで、朝を迎える。変わらない今とは違う、もう一つの朝。

雨のパレード、いいな〜
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