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Serpent of the Nile(原題)のkayupanのネタバレレビュー・内容・結末

Serpent of the Nile(原題)(1953年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

カエサル暗殺後、アントニー(マルクス・アントニウス)とアウグストゥスがブルータスら暗殺者を駆逐し、統治するローマ帝国。カエサルの愛人だったクレオパトラが、二人の子をローマ帝国の王にしたいがために今度はアントニーを誘惑する。本作が、同じテーマを扱う他の作品と異なるのは、アントニーの良心として、ブルータスの腹心だったルキリウスに焦点が当たるところだ。そのことによって、忠告を聞かずに没落していくアントニー(そしてクレオパトラ)が際立つ。
内容と直接関係ないが気にかかるのは、カエサルをテーマにしたものもそうだが、登場人物が口を揃えて「ローマのため」といい、実際には内乱で当のローマを掻き回す。このことは、実態のない国家というものを形而上学的に美化し、おのれの中で深く信仰することによって、それに当てはまらない他者を排する愚かな人間の"信念"を表している。これはいつの時代もどんな軽微な内容であれ、他人ごとではない。そして結局は変わらない、動物的な本性なのかもしれない。
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