ゴリアテの憂鬱

ソングス・フォー・ドレラのゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

ソングス・フォー・ドレラ(1990年製作の映画)
4.3
本作『Songs for Drella』は、1990年に発表された音楽,映像作品の4K修復版。

元The Velvet Undergroundの二人の天才, ルー・リードとジョン・ケイルによる、1968年の決別以来21年ぶりに共演した無観客ライヴの記録映画となっております。

そして、『Songs for Drella』の“Drella”とは、The Velvet Undergroundを見出したポップアート界の天才, アンディ・ウォーホルを指します。

ウォーホル周辺のいわゆる“スーパースター”だったブルックリン出身の俳優,オンデュースによって考案されたそのあだ名は、おそろしいドラキュラと魅惑的なシンデレラを掛け合わせたものでした。

大阪在住の僕は、京都で開催されているアンディ・ウォーホル展には例え京都に行く予定があったとしてもついでに寄ろうとは考えないですが、この映画を観るためなら塚口まで喜んで出向くタイプの人間です。
そんな人間はこの共感万歳の時代に向いていないのは火を見るよりも明らかです。

塚口サンサン劇場は今回初めて行ったのですが、ローカルな駅にあるにも関わらずスクリーンも大きく立派で、とても素敵な映画館でした。
劇場の名前も良いし。
僕も自分でやってる美容室の店名を“堀江サンサン美容室”に改名したくなりました。

話が逸れてすみません。

映像では、リードとケイルの間にはまだなんとなく関係のぎこちなさがあるのだろうなという微妙な緊張感が伝わってくるようでした。

同名アルバムの曲たちを通じてウォーホルとの関係や思い出が語られ、そしてそれはラストの“Hello It’s Me”へと紡がれていきます。

年齢を重ねた二人の姿もカッコ良すぎました。
ジョン・ケイルの衣装なんて、カール・ドライヤーの映画に出てくる登場人物のようでした。

今日は『Song for Drella』を聴いて、そして明日はジョン・ケイルの新作を聴こう。