シャチ状球体

I Am Here-私たちはともに生きている-のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

3.8
冒頭のテロップで、生まれた時に"規定された"という表現が使われているのが嬉しい。他にも、"割り当てられた"という言い方もされている。
よく使われる「心の性」、「体の性」という言葉は本人の性自認を蔑ろにしているものなので、この点は重要。

日本国における戸籍上の性別変更のための子なし要件、手術要件は改めて当事者の人権を著しく侵害するものだと強く思う。
手術をしなければ戸籍を変えられないということは、生活をしていくために生殖機能を断絶しなければならない場合も普通にあり得るということ。
ホルモン療法が未だに保険適応外であり、しかも国家によって自分の体が管理されているって、どんな後進国なんだ。

複数の当事者のエピソードを聞くことができるだけでもこの映画は貴重だと思う。
"共助が機能しているコミュニティで生活をしている人たち"の比較的"ハッピー"な側面ばかりクローズアップされるけど……。

TRP共同代表理事の方も出演されてるけど、あれは自分以外の当事者、もとい他者に対する想像力が足りなかったために起きたことなんだろうな……としみじみ。
ハッピーでいることのできる人には、そうでない環境に置かれた人たちを透明にしてしまっていないかを考えてほしい。
シャチ状球体

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