丽遥

港の乾杯 勝利をわが手にの丽遥のレビュー・感想・評価

港の乾杯 勝利をわが手に(1956年製作の映画)
3.5
清太郎時代。処女と娼婦の对としての兄弟。家族の描写は一切なくて、この構造が際立つ。こういう時兄は大抵ヤングケアラー。

過剰なオーバーラップに笑う。あさことギャングと女体と酩酊の目まぐるしいオーバーラップは催眠術のようだった。
あと荒廃したナイトクラブの空間デザインは野獣の青春のそれにも似た高低差を感じさせる。高低差は駅の階段と言い、競馬場と言い、映画全体の空間構成に通底している。あと、駅の4番ホームと、競馬場の4番コーナーの数字の共通も印象的。4=死というか、鬼門?

歌謡曲はちろっと入れとくかみたいなノリが清順らしい。松竹大船調は息を潜め、早くも日活ノワールの風格が漂う。
丽遥

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