「ほんと、フツーだね」
2020から1995へ。
二度と戻れないあのクロノスタシス。
いつもは良い映画と出逢ったら"全人類に観て欲しい"とかほざくけど、この作品だけは観たのが世界で自分だけだったらいいなと思った。
これを観た後は、いつもの歩道も過ぎゆく人々もどこか違った色に見えるだろう。自分の半径1cmにどこまでも広い空気を作られた。ずっと目を閉じているような感覚に襲われている。
誰もが抱えるこの寂しさは一生消えないし、なんならこれから更に増していく。でもこの気持ちに、青春に苦しむ事は何故こんなにも温かいのだろう。
泣いてしまうのではなく、泣きたくなるこの気持ち。どうにかして自分のために涙を流したかった。
友達以上、恋人未満のあの時。
告白が始まりだと思っていたあの時。
無知から変わりたくないと感じる日なんて来ないと思っていた。
今中学の校舎を歩いたら必ずあの靴箱で足を止めるだろう。今高校の校舎を歩いたら必ずあの部室裏で足を止めるだろう。今海を見たら必ずあの横顔を思い出すだろう。
なんてダサく、なんて馬鹿馬鹿しい宝物。
過去の淡さを捨て去らずに新しい出逢いに向かう事はそんなにも非常識だろうか。
いつからこうなってしまったのか。
何もかもに敏感で少しの事に全てを変えられていたあの頃に戻りたい。
泣
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いつもタバコのシーン観たらタバコ吸いたくなるけど、今作に出てくる喫煙はあまりにもリアルすぎて、重過ぎて苦しかった。
香織/犬キャラがタイプ過ぎる。
一つ一つの言葉に世界を、これまでの人生を感じる。感じるだけで全く見えないのが良い。これ現実でもよく思う。言動から見えてしまう人は好きじゃない。
ビューティフルドリーマーを部屋にいる時エンドレスで流すって、最高やな。
大島優子のキャラのフツーさには感動した。46歳の佐藤の隣にいる彼女だからこそ、このフツーさは本当に大切で逆に演技が難しかったと思う。
社内風景の慣れ感素晴らしい。
関口とのやり取りは永遠に見てられる。
CCレモンの缶お洒落！
やっぱり文通は良い。
電子連絡ツールよ世界から消えてくれ。
ノストラダムスの番組流しながらのファーストキスはおもろい。
5800円の宇宙の中で迎える初夜。
それがずっと秘密基地になるのが素敵。
zoomのバックの柄よ。
こうゆうちょっとした切なさにやられる。
例のヤクザが助けてくれるシーン。
この一連の扱いは斬新で深くて良い。
90年代のカルチャーに懐かしさを感じられないのが悔しいがどれも最高に素敵だった。良い曲ばっかり。
童貞感をここまで爆裂させられる表現力は凄い。これが今から過去への逆成長だからこそグッときた。いや過去から今が成長ではないか。
燃え殻/馬の骨 めちゃんこ好き。
細かい好きな所はまだまだ無限にある。
本当に凄い作品を作ってくれた。
また観る、というか観なきゃ。
読んでくれてありがとう。
頑張って生きていきたい。
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「良い奴じゃない 世間知らずなだけ」
「今度CD持ってくるからね」
「東京タワーって
スカイツリーよりエロいから好き」
自分も東京タワーの方が好きやけど
エロいとは思った事なかったな。
「ねえ、子供の頃
今の自分になりたいって思ってた？」
「悲しみのない自由な空へ」
「自分よりも好きな存在になってしまった」
「こんな毎日でも、なんか嫌いじゃない」
スーの表現本当に痺れる。
「もう結婚しろよ
絶対食えるようにしてやるから」
「レンタカーで高速乗って降りたい所で降りて食べたい所で食べるの。あ温泉には入りたいかも」
最高やないかい。もう、ほんまに。
「今日は痛む？」
「ううん」
「じゃあ晴れだね」
「宮沢賢治はね、死ぬまで
遠くに行った事なかったんだよ
ずっと東北の田舎にいたのに
銀河まで旅したんだよ
何処に行くかじゃなくて
誰と行くかなんだよ」
なんて格好良い台詞。どっか遠くに行きたいって言われた時のアンサーでこれ使おっと。
「なんでそんな事言うの
皆死ぬのに」
"神様を信じる強さを僕に"
「彼の身体の隅々に
打ち込んでた他人の文字が
成仏せずに残ってたんだよ
君の身体にも成仏してない
言葉が詰まってるよ きっと」
「君は大丈夫だよ 面白いもん」
"暗闇から手を伸ばせ"
「僕は正直よく分からなかったです」
「いいじゃないですか
分かりきってるものなんて
見ても意味ないです
分からないものは分からなくていい
その方がずっと残ってくれる」
「そちらは、どんな人生でした？」
初対面のこの質問いいね。
「最初のうちはキツいと思うけど
俺、そのキツさ全部取り戻すまでは
絶対辞めないから」
このマインドめっちゃ良い。
「え？好き？」
「うん」
「君が、僕を？」
「うん」
「好き？」
「うん」
「ほんとに？」
「えへへ」
「人の不幸で笑えなくなったな...」
「嬉しい時、悲しい気持ちになるの」
「ほんと、フツーだわ」
