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ZAPPAのtakatoのレビュー・感想・評価

ZAPPA(2020年製作の映画)
4.2
 ザッパについては何にも知らなったが、てらホーさんが去年のベスト映画に挙げていたので鑑賞(ヨシキさんが挙げていた「ベネデッタ」も公開してくれい)。


 何にも知らない人間として見ていて連想したのは「手塚治虫 創作の秘密」での凄絶な程のワーカホリックぶりを見せつけていた手塚先生と同じ、自分自身の才能という巨大なデモンに取り憑かれ、もはや常人では理解できない領域にいってしまっているデモニッシュな人間の姿であった。


 もう常識とか一般的な幸せといった世界からすっかり外れてしまい、創作自体が自己目的化しているような創作ぶりには狂気に近いものがある。しかし、そんな人だからこそ切り開ける地平があり、そこに痺れてついていく後進が勝手に産まれていったりする。音楽作品というより、商品化は完全にしきれない芸術という世界に生き抜いた一人の男の遍歴といっていいでしょう。エンドロールに流れる曲が弔歌としてしみじみ染みて、最後まで余韻をじっくり味わいたくなったのは久々の体験。
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