一休

星の王子ニューヨークへ行く2の一休のレビュー・感想・評価

5.0
若い頃に売れて、そこから若さを武器に功成り名を上げていくという俳優さんは、多々いるが、そこでカッコウを付けようとした俳優さんは、いつかいなくなるか、あるいは仮面を剥ぎ取る時期が来て失速してしまう。
その点、エディー・マーフィーは最初っから、自分の身の丈と素を晒してスクリーンに映されるようにしていた感じがする。
前作【星の王子 ニューヨークへ行く】も、アフリカの王子様が、ニューヨークで理想の女性と巡り合い、父親の反対を押し切って、二人の幸せをつかみ取るという超~ハッピーエンドの作品だったにも関わらず、等身大の青年を自分の枠の中で見せ切ったとこが、非常に良かったし、だからこそ長年ファンに繰り返し観られていたのだと思う。
今回、30年ぶりに続編が作られ、しかもAmazon primeでの公開という事で、早々に観る事にした。

ザムンダ王国で王子として暮らして30年がたったアキームには、リサとの間に3人の娘・王女がいる。国王ジャッファが病床に就いて実質トップとなったアキームは、リサと結婚するために振ったイマニの兄である隣国のイジー将軍から、両国の政略結婚を勧められ、武力行使の圧力を掛けられている。しかし、アキーム=リサ夫妻には男子がいないので、娘の一人をイジー将軍のバカ息子の嫁にするしかない。
ところが、亡くなる寸前の国王と占い師ババから、リサを見つける前にセミに連れていかれたバーで出会った女性との間に、男子がいると告げられる。
その女性マリアから、マリファナを吸わされた事で前後不覚になった結果であったが、とにかく男子がいることが分かったので、セミと一緒に再びニューヨークへ行くという所から話が始まる。

そりゃあ、もちろん前作があっての2だから、ハッピーエンドであることには違いない。(笑)
だが、見所は、前作のキャストがほとんど同じ俳優さんで演じられている点だ。
国王、セミ、オハ、リサの父のマクドゥーエルも同じ俳優さんだし、床屋の人物たちだって再度エディーが演じているし、なんなら降られたイマニも同じ女優さんが犬の真似をしながら出てくる。ww
こりゃあコメディー映画というより、もう、エディー流のジョーク映画という感じだ。
何より、再度、エディーが床屋の登場人物に扮して出てくるなんて、明らかに作品を私物化して喜んでいるとしか思えない。
俳優なんて、そりゃあ、元々、自己顕示欲の強い人には違いない。
だが、エディーにはバタ臭さはあっても、変な自慢臭はしない。
それは、日本の漫画文化にあった「ぎゃふん」と「ズッコケ」を感じるからだ。
【48時間】で出て来た時点から、エディ・マーフィーには確かにそれがあった。
今回の作品でも、ドタバタの内に「ぎゃふん」と「ズッコケ」があり、それが国王となったアキームとその息子、そして家族、王女の娘を巻き込んでハッピーエンドを魅せてくれる。
心温まるファミリー映画だ。
アメリカの黒人にとって、見知らぬアフリカという大陸にある、架空の黒人王国という設定で、出演者のほとんどが黒人という映画でも、【ブラックパンサー】とは違うアットホームさが楽しめる映画なので、明らかに名作と言えるであろうと思う一休なのであった。
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