とむ

浅草キッドのとむのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.0
オンライン試写会にて、一足先に鑑賞。

前作「晴天の霹靂」の公開で
決して頓珍漢な演出家でない技量を見せつけた劇団ひとりの2作目長編映画監督作。
正直予告編の段階で「ウェルメイド」な映画であることは予想できたけど、かなり。いやめちゃくちゃちゃんとしたクオリティに仕上がってて流石やなぁとしみじみ。

カットバックの使い方だったり、
回想シーンの入れ方はもちろん、
本筋からずらしたちょっとしたシーンの描き方もよく出来てて、ホントにザ・ウェルメイド。
まぁちょっと穿った評価をしてしまうと、
カメラワークや音楽、CG使いなど「良く出来すぎてて鼻につく」感じも多少はしますが…笑


柳楽くんの「あ、これはビートたけし!」って思えちゃう芝居力は圧巻で、
流石憑依系役者の真骨頂!と思わざるを得ませんでした。
肩をクッと回すところなんか狙った感じが全くしなくて、これ下手な俳優がやったらめちゃくちゃわざとらしくなると思います。

あと大泉洋演じる深見師匠の、こんな言い方したら当時のファンに怒られちゃうと思いますが、
「落ちぶれていく」過程の芝居はもうほんとピカイチというか…

そしてその二人にガチでタップダンスさせる劇団ひとりの「役者の技量を限界まで引き出す(前作で言う、1カットカードマジック長回しみたいな)」ある種の厳しさも健在で、
そのこだわりは作品のクオリティ向上に間違いなく一役買ってます。
ラストのエンドロールへの入り方なんて、最近の邦画には珍しいくらい洒落た「入り」で、正に江戸っ子よろしく「粋だねぇ」と膝を打つ代物でありんした。


ちゃんとお金もかかってるし、
製作者側もしっかり向き合って作ってる。
Netflix一強時代はこれから益々ヒートアップしていきそうだなぁ。

観た人はわかると思うけど、
「タイタニック」と「スウィング・キッズ」「サニー 永遠の仲間たち」的な演出や、
たけしがヒールを備えるシーン、
泣いたわぁ
とむ

とむ