てっぺい

浅草キッドのてっぺいのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.0
【セリフが響く映画】
「笑われんじゃねえぞ、笑わせるんだよ」要所のセリフでズッシリ響く師弟愛。笑いも涙もある胸熱映画で、本人よりも本人に見えてくる柳楽優弥の徹底した役作りにも注目。

◆トリビア
○特殊メイクでビートたけしを演じているのも柳楽優弥。(https://m.youtube.com/watch?v=FWLY0x19_5Y)
○ ビートたけし作詞・作曲の『浅草キッド』で歌われている、浅草の居酒屋「捕鯨船」も実店舗が登場する。この店に来るたび「若い芸人たちに食わしてやって」と、たけしが大金を置いていくという逸話が有名。(https://news.yahoo.co.jp/articles/565d62ff0891fbaa5991b82c85fef2957ef406f4)
○ 主題歌を歌う桑田佳祐は、オファーを受けた段階では「主題歌はたけしが歌う『浅草キッド』だから、提供できる主題歌はない」として一度断った。(https://news.yahoo.co.jp/articles/565d62ff0891fbaa5991b82c85fef2957ef406f4)
○タップを振付指導したのは、北野映画でおなじみのHideboH。実父がタップダンサーとしてフランス座に出入りしており、それを袖で見ていたという、浅草ゆかりの人物でもある。(https://news.yahoo.co.jp/articles/565d62ff0891fbaa5991b82c85fef2957ef406f4?page=2)
○ロケ地に長野県の上田映劇という映画館が使われており、映画用に作った壁がそのまま残されている。(https://www.excite.co.jp/news/article/Getnews_3178636/?p=7)
○ Creepy Nutsがカメオ出演している。(https://eiga.com/news/20211129/4/)

◆概要
【原作】ビートたけし自伝「浅草キッド」
【脚本】劇団ひとり
【監督】劇団ひとり
【出演】大泉洋、柳楽優弥、門脇麦、土屋伸之、中島歩、古澤裕介、小牧那凪、大島蓉子、尾上寛之、風間杜夫、鈴木保奈美
【主題歌】桑田佳祐「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」
【公開】Netflixで2021年12月9日から配信

◆ストーリー
昭和40年代の浅草。「お笑いの殿堂」と呼ばれるフランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、深見のコントにほれ込んで弟子入りを志願。テレビの普及とともにフランス座の客足は減り、経営は悪化していく。やがてタケシはフランス座の元先輩キヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。深見の猛反対を押し切ってフランス座を飛び出し、人気を獲得していく。


◆以下ネタバレ


◆柳楽優弥
この俳優には本当にシビれる。「ザ・ファブル」で血の気もよだつヤクザを怪演したかと思えば、「銀魂」で笑える土方を好演、そしてこの本作。ビートたけしのあの独特な瞬きや、肩の入れ方、細かい所作が本人のイメージそのもの。深見の遺影の前での泣きの演技にもきちんとその所作が入っていたし、全体的に少しどもって喋るような声色の調整まであって、その演じる姿勢の徹底ぶりには鳥肌が立つレベル。現在のたけし(特殊メイクだろうけど、少し気持ち悪かった)よりも、全然本人に見えた。

◆絆
物語の大筋が深見とタケシの師弟愛。冒頭の花束が深見へのものだった伏線や、今も実際に舞台袖で本人がやっているというタップダンスが、深見から教わったものという事実。実は誰よりもタケシの才能に惚れ込み、出ていったタケシのため挨拶回りもするほど、案じていた深見。テレビで活躍するタケシに「誰の弟子だと思ってんだよバカヤロー」とこぼす深見。そんな深見のもとにタケシが獲得した賞金を持ってくるシーンも胸が熱くなったし、居酒屋でのハイヒールのくだりも好きだった。

◆言葉
「芸人だよバカヤロー」「笑われるな、笑わせんだよ」響くセリフをしっかりと強調して撮ってある本作。変な分かりにくい演出よりも、こんなストレートな演出がやっぱり1番胸に響く。個人的には、前述の「誰の弟子だと思ってんだよバカヤロー」や、「それ余ったらよ、ちゃんと釣り返しに来い」と、深見流の言い方でタケシへの思いを伝えるシーンがとても好きだった。
てっぺい

てっぺい