千年女優

浅草キッドの千年女優のレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
3.5
昭和四十年代のテレビの台頭に圧されつつありながらもまだ「芸人」の主戦場が舞台だった頃、大学の工学部を中退して芸能の道を志した青年たけし。井上ひさしや渥美清、萩本欽一らも舞台を飾ったストリップ劇場の浅草フランス座の深見千三郎へと弟子入りした彼が、変わり行く時代の中で師匠と過ごした修行の日々を綴った青春映画です。

昭和50年代の漫才ブームで一躍スターとなり、映画監督としても「世界のKITANO」として成功したビートたけしの自伝小説を原作とする作品で、幼少期より彼のファンで『天才・たけしの元気が出るテレビ』でテレビデビューした劇団ひとりが監督を務めて、前監督作『青天の霹靂』でも主演を務めた大泉洋と柳楽優弥による物語を演出します。

激しい感情表現がもたらすおかしみを芸風とするひとりらしく、情緒で畳みかける物語となっていて、それがたけしや深見の気恥ずかしさから本心を茶化すことで笑いとする生き様とマッチしているかは疑問ですが、やや過剰とは言え柳楽優弥へ仕込んだものまねやリフレインを多用する展開で表現する彼のたけしへの愛情が心を打つ一作です。
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