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浅草キッドのakuruのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.1
「ツービートのビートたけし」より「世界のキタノ」の方が馴染みのある世代。
 「天才」ビートたけしはどうやって誕生したのか。タップダンスと昭和のテレビ全盛期、全部が懐かしくて全部が新鮮。夢中で見た。
 
 どんな不遇も、どんな理不尽があっても、それでも環境を怖がらずに飛び出していく。ただ、絶対に恩は忘れない。それがどの時代でも、どの業界でも成功するただひとつの方法。
 ビートたけしって、実は天才でもなんでもないのかも。いや、なんとなく、こっちがいいかも?っていう自分の第六感と、クリエイティブなセンス、それとどんなに自分が稼げるようになっても忘れないユーモア。あ、これだけ揃ってたらやっぱり天才なのか。

 テンションがぶち上がる瞬間がタケがタップシューズで踊り出した時。あの音、あの音楽、あぁテンション上がってきた!テンションが上がってきたら、人生がどんどん転がっていく合図。いい方にも悪い方にも、止まることなくステップは続く。

 柳楽くんのモノマネではない、何者でもないタケの演技。役者ってすごいなぁと、本当に思った。映画が始まるエレベーターボーイのタケと、時代のトップスターのビートたけしは同じ人物が演じているのに、面白いほど違って、でも同じ人間で。

 ラスト、なじみの飲み屋で深見さんとゲラゲラ笑いながらお酒飲むシーンは涙なしでは見られなかった。人をおちょくって、からかって、でもその人をすごく尊敬してて信頼している。

自分を見つけてくれた恩は絶対忘れない。

 そういったタケの深見をみる目が、優しくてビートたけしそのものだと思えることが本当にすごい。

 師匠の深見は大泉洋。
 言わせてください、

 あんた、芸人だよ!

 タン!とステップを踏みこんだ瞬間。
私たちの人生も動くように地球はできている。
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