グリフィス、1912年の短編。傑作。俯瞰のロングショットの多用と俯瞰視点の主の度重なる変更。レッドマンズ・ビューが最も感情移入できるか。騎兵隊には見透せなかったインディアンの赤ちゃんと白人が発見できた赤ちゃんの対比は観客の視点でようやく把握できる。
俯瞰ロングショットとは対照的な足元を見下ろすというささやかな行為。足を水に浸すブランチ・スウィートのファースト・ショットから客人の前で裸足を晒し恥じらうなどのユーモアが、ラストで死体の山から伸びる手として変奏される。大きな視点と小さな目線。
ウィルフレッド・ルーカスがブランチ・スウィートに結婚を申し込む場面のスウィートの表情の変化の繊細さ。驚き、恥じらい、はにかむまでをしっかり撮る。チャールズ・ウェスト登場からスウィートの視線はウェストに固定され、その表情が見えないのも凄い。グリフィス演出の素晴らしさ。
インディアン襲撃場面、チミノ『天国の門』的防戦集団と回転運動の襲撃者。ウィルフレッド・ルーカスの機械的な拳銃の動きはカメラのパンのよう。銃身がブランチ・スウィートの顔に被さった瞬間のおそろしさ。否応なく「死よりも悪い運命」を連想する。参考→ https://t.co/BqGBmUrMbP