とらキチ

偽りの隣人 ある諜報員の告白のとらキチのレビュー・感想・評価

4.0
韓国現代史をテーマとした作品なのでコレは!と思い鑑賞。
軍事独裁政権下の1985年、自宅に軟禁された野党の大統領候補を盗聴するKCIAの男が、彼の政治に対する崇高な信念などを知るうちに政府、KCIAに不信を抱いていく…
冒頭で「この物語はフィクションです」と出るけど、きっと今作を観た100%の人が、誰をモデルにしたのか、わかってしまうだろう。それに、確かに史実とは異なる。
そんなモデルとなった人がいる作品だけど、あくまでもフィクション。しかもコメディ作品。それでも韓国作品らしく容赦ないシリアスな展開に惨劇もあるし、最後はしっかりと泣かせてくれる。でも劇伴があまりにもわかりやす過ぎて、逆にそれがちょっとダサいなぁと思ってしまった。
“国”に対する忠誠心とは何か?それを問う作品。この作品の主な登場人物達は、全員間違いなく“国”に対して忠誠を誓っていた。作中では太極旗を象徴的に使用していたけど、その“国”の実態とは?ある人物にとっては、それは大統領であったし、もう一方の人物にとっては国民であった、ということなのだろう。
それにしても、劇中では韓国帰国時の空港でだったが、モデルとなった人物は、それ以前に日本国内で白昼堂々と拉致され、殺されかけている。軍事独裁政権の大いなる闇というか、やってる事の無茶苦茶さ。
韓国俳優陣のわかりやすいクセの強さを堪能できる作品。わかりやすい悪い顔をしたヒールに、それに阿る部下。彼らに対するコチラの苛立ちを存分に盛り上げてくる。そして“殺人拳”でも繰り出しそうな顔つき&髪型の主人公の部下。みんなクセがスゴイ。主人公のチョン・ウさん、「レッドファミリー」を観た時にはそれほど思わなかったけど、今日はずっと大泉洋に見えてしょうがなかった。そしてムダにイイ身体をしている。娘役のイ・ユビさんの髪型がとても80年代していて、カワイイ。
最後に…今作、結構尾籠なネタ、描写が多いので食前、食事中、食後の鑑賞は要注意です。
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