Mackeyホンダ

偽りの隣人 ある諜報員の告白のMackeyホンダのレビュー・感想・評価

3.1
まずジャケットと「偽りの隣人 ある諜報員の告白」と明朝体で書かれたタイトルが醸し出す骨太な雰囲気が「偽り」。

「暗黒の韓国1980年代」を描いた韓国お得意の近代史スリラーかと思いきや、思いっきりコメディだった。しかもドリフも真っ青な「志村!うしろ!」的なドタバタコメディで、初っ端からズッこけた。

これまで「タクシー運転手」「弁護人」「1987、ある闘いの真実」を観て、政敵や自国民を国ぐるみで殺していた1980年代の韓国の恐ろしさに震え上がらされたが、この暗黒時代を描くには、さすがにドタバタコメディは相性が悪いなと感じた。

ただし、この作品もいつまでもフザけてばかりはいられず、中盤からはグッとシリアスになる。主人公の弟が警察から理不尽な拷問を受け、正義の政治家に対し国ぐるみで卑劣な謀略をかけられるなど(人も死ぬ)、逃げ場のない恐怖が牙をむく。

おっ、ここからがサスペンスだな!

とワクワクしながら身を乗り出したところで、主人公がパンツ一丁で事件を解決に導いてしまう……。おい!

まあね、よく見りゃたしかにアマプラのジャンル欄にはしっかり「サスペンス·コメディ·ドラマ」と書かれていた。見落としたおれが悪い。

ある程度それは認めるにしても、このジャケットとタイトルは確信犯ではないのか? 「本当に100%おれが悪いか」と言われれば、そうは思わない。騙された人もいるよね、絶対。

ラストはちょっと泣けたから、まあ良しとする。
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