社会のダストダス

チェリーの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

チェリー(2021年製作の映画)
3.5
トム・ホランドが主演で監督がルッソ兄弟ということで、MでCでUなシリーズでお馴染みなメンツ。ルッソ兄弟って『アベンジャーズ』関連のイメージが強いから、ディズニーとかマーベルの社員なんじゃないかと勝手に勘違いしていたけど、本作はAppleオリジナル作品。

大学中退後に米軍に入隊し衛生兵となった主人公(トムホ)。PTSDを患い帰還した彼は、戦地でのトラウマを忘れられず苦悩するうちに、ドラッグや犯罪に手を染めはじめてしまう。

ストーリーは、闇堕ち版『フォレスト・ガンプ』みたいな感じ(フォレスト・ガンプがうろ覚えだけど)。ちょいちょい挟まるトムホのナレーションで観ている間もしやと思ったけど、自伝小説が基になっている実話のようで、回顧録のような語り口になっている。

ヤク漬けのトムホが恋人や親友の力で立ち直っていく系の話なのかと思ったら、「一緒にダメになろうぜぇ~!うぇーい!」って感じで皆でラリってしまう。時々忘れるけどトム・ホランドはイギリスの俳優なので、スパイダーマンのNYの都会っ子だったり、本作のような田舎のジャンキーだったりと違和感なく溶け込んでいるのは凄い。

本作では章立てされた展開に応じてトムホが色々な姿を見せてくれるが、エピローグのヒゲのはえた顔はドリフのコントで出てきそうで笑ってしまった。そういえば銀行強盗でヘマするシーンとか、ドリフで似たようなコントを見たことある気がする。おそらくルッソ兄弟はドリフの大ファンだと思われる。

主人公の(所々曖昧な?)回顧録のため、出てくる地名が「信用ナシ銀行」だったり、胡散臭い医者の名前が「ドクター・ナントカ」だったり、暗い展開ながらも所々ギャグが挟まってくるので、それなりに長い尺の映画ながら沼に沈んでいくような気持ちにはならずに済んだ。

ネトフリやアマプラに比べるとまだまだオリジナル作品が少ない印象のアップル。数少ないオリジナル作品は、予告編とか見る限りでそんなに面白く無そうでも、意外と良作が多いのかもしれない。ただもう少し偏差値低そうな脳筋映画が増えてもいい気がするけど。