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愛について語るときにイケダの語ることのswknnmyのレビュー・感想・評価

4.0
猫っ毛の人が好きとか
奥二重の瞳の奥に優しさを感じるとか
その寂しげな口元がたまらない
みたいな感じで視覚からくる印象で
人を好きになることがあるならば、
体の形で人を好きになることもあるはずで
イケダさんはとても個性的な体の形をしていた。

心の欲求を満たすことと
体の欲求を満たすことは別なのか
心は懐疑的だけど
体は素直だからその肌感覚を信じられるのか

ひとりの女性の『愛の告白』を断って
お金を払ってあらゆる女性を抱き続けたイケダさん。

お金で満たす事の方が誰も傷つかないし
自分以外に責任を負いたくなかったのかもしれない。

病でだんだん痩せ細り、骨と皮になっていく姿は痛々しくて辛かったけれど
ユーモアを交えて自分自身について赤裸々に話す様子は爽快さを覚えた。

イケダさんがセックスをしまくる映像は
生命力というよりは
なんとなく寂しさを感じてしまった。
一時的な快楽を求めるのは
生きる時間が限られているからだったのかもしれない。

イケダさんにいろいろ聞きたいことがあるけれど
もう亡くなってしまったから何も聞けない。
だからこそこれを見た人がそれぞれに思い巡らせることができる。
一人の人が生きて死にゆく姿が潔くまとめられていて
観た後になんともいえない清々しさがあった。

上映後のトークの時に佐々木さんが幾度となく使っていた
「虚実皮膜」という言葉がとても気になったので調べると

芸は実と虚の境の微妙なところにあること。
事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論。
江戸時代、近松門左衛門が唱えたとされる芸術論。

とのことでますます興味深い。
パンフレットには映画に収まりきらなかったことも書かれてるそうなので
読んでみるのが楽しみ。
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