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I Saw What You Did(原題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

I Saw What You Did(原題)(1965年製作の映画)
3.7
「あなたが何をやったのか知ってるわ!」

テキトーな番号にイタ電して、出た相手にそんな言葉を言って遊んでた女子3人組。でもその相手は、妻を殺害し森に埋めたばかりのガチ殺人犯だった!「殺人を見られた…」と焦る犯人、「声が超セクシー❤️」と盛り上がる女子たち。そんな空気感のズレが楽しいコメディ⇄ホラー。

『何がジェーンに起ったか?』でホラー界に転向した大女優ジョーンクロフォードが『血だらけの惨劇』に続き興行師キャッスルと組んだ作品。キャッスルの代名詞であるギミックは既に集客力を無くしていたために本作では使用されず(シートベルト的なのはあったみたい)、電話の映画だからと観客用の電話番号を用意したけど、多くの若者による電凸に負けて撤退したらしい😅

ちなみに今回のクロフォードはメインではなく、殺人犯の不倫相手。妻殺害にクロフォードは一切タッチしていないのだけど、イタ電のせいでその事実を知ってしまう。そしてそれをダシに「私と結婚しなさい!さもなくばバラすわ😏」と強引に迫る時の表情には狂気が満ち満ちていて、今回もやっぱり怖かった!!😂

「何をやったか知ってる」だけではなく、電話口に奥様が出たら旦那の不倫を匂わせるという悪行を毎度の如く延々に繰り返して大爆笑してる女子たちの凶悪っぷりがとにかく凄い!各家庭の顛末は画面外に押しやられ描かれないのだけれど、この一晩で相当な数の「地獄」がコイツらのせいで作り出されたんじゃないかな…😱

でもその辺りが主題になっていて、ティーンホラーながらも、本作のような極端なイタ電に限らない「電話をかける」という行為に対する発信→受信とその背後の意図せぬ広がりの分析がなかなか面白かった!『アイインザスカイ』的な構造部分だけでなく、受信した側の内面・関係性を顕在化させるだけってのも好き!

そして、『The Bloodstained Butterfly』の蝶型ならぬ目型スクリーンによるジャーロ的な窃視視線によるスタートを見せるだけあって、人里離れた自宅から「外」への憧憬と性的欲望を同質化させ、そこにイタズラという幼稚さを含ませることで、その内面における二律背反が「魔」を引き寄せるという、全くポジティブでない帰結は流石毎回全てを覆すキャッスルらしさ。単純に面白かった!!
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