しゅんかみ

マ・レイニーのブラックボトムのしゅんかみのレビュー・感想・評価

4.8
チャドウィック・ボーズマンの遺作にしてアカデミー賞ノミネート作。
どういう映画かほぼ情報なしで観ていたので、基本的にはほぼワンシチュエーションの会話劇だったので驚いたが、元が戯曲ということで納得。

その会話の中で、登場人物の内面が次第に明らかになっていくのが面白みのひとつ。
チャドウィック・ボーズマン演じるトランペッターのレヴィーが、夢と希望と自信に溢れたキャラクターとして登場しながら、あのラストに至るのが衝撃的だった。彼が『ブラックパンサー』や『マーシャル』で演じてきた役柄を知ってみるとなおのことこのキャスティングに重みを感じた。

マ・レイニーについても、ブルースの母と言われてるらしいけど全く知らなかった。
この映画での描かれ方は、一見傲慢なようでいて、その態度は実はマ・レイニー自身への差別的な扱いの裏返しであるということが語られる場面も、地味ながらヴィオラ・ディヴィスの迫力で成立させていたと思う。

地味ではあるものの、ラストの展開含めて考えるとスパイク・リーのような怒りをも感じるパワフルな映画だった。

改めて、Rest in Power チャドウィック・ボーズマン。