映画好きの柴犬

マ・レイニーのブラックボトムの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.7
分断が分断を生む

 1920年台のシカゴ。ブルースの母と言われるマ・レイニー(ヴィオラ・ディヴィス)のレコーディングに参加した野心家のトランペッター・レヴィー(チャドウィック・ボーズマン)の言動が思わぬ悲劇を招く、社会派サスペンス。

 元が舞台劇だけあって、ほとんどはレコーディングスタジオ内で進む会話劇。プライドの高い高名な歌手のワガママと、成り上がろうとする野心家の若手の傍若無人ぶりを延々見せられるのかと思いきや、その言動の裏にあるそれぞれが経験してきた黒人差別に対する思いが明らかになるにつれ、様相が一変。しかも、それぞれがそれぞれのやり方で白人社会に食い込もうとすることで、黒人の間にも分断が生まれてしまうという悲劇。

 レヴィー役のチャドウィック・ボーズマンが痩せてシュッとしてて、本人ということがしばらくわからなかった。野心家の若手を演じるための役作りかと思ったが、ガンの影響だったのだろうか。合掌。