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マ・レイニーのブラックボトムのradioradio526のレビュー・感想・評価

4.0
「激しくぶつかり合うアイデンティティの果てに…」

「マ・レイニーのブラックボトム」NETFLIXで鑑賞。

アカデミー発表の前に少しでもノミネート作品を観ておきたい。
先にNETFLIXやAMAZON PRIMEで観れてしまうことに複雑さを感じながらも特に楽しみだった作品。

マ・レイニー…ベッシー・スミスと同時代となるとブルースの創成期である。
実在した女性ボーカルらしいが不勉強で知らなかった。
南部のラウンジ(掘っ立て小屋みたいな粗末な造りのそれだ)でのライブシーンから始まる…この頃の南部の熱をしっかり伝えることによってこの後のシカゴでのレコーディングの背景がわかってくる仕掛けだ。
シカゴのスタジオにマ・レイニーのレコーディングミュージシャン達が先に到着、それぞれにやり取りを交わしている。
野心家のトランペッター・レヴィーはお調子者のキャラクターだが、その裏には重苦しい過去を持っていた。
その性格もあってトラブルメイカーであり、マ・レイニーとも意見が合わない。
そんな中、女帝さながらのマ・レイニーが到着する。

レヴィー演じるチャドウィック・ボーズマンの遺作となってしまったが、最後でレヴィーという役に辿り着いた運命には唸るしかない。
自分の過去を語るレヴィーの長尺のセリフは現代のBLACK LIVES MATTERの潮流に楔を打つ名シーンだと思う。
そしてマ・レイニーを演じたヴィオラ・デイビスの圧巻の演技!白人相手に一歩も譲らない気高き女帝は憎々しくも、それは迫真としか言いようが無い。

これは映画館でもう一度観にいきたい作品。
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