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くれなずめのmanamiのレビュー・感想・評価

くれなずめ(2021年製作の映画)
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そうだよね、なんか変だなぁと思ったんだよ〜。初っ端の式場シーンからとんでもなく不自然で、演出だとしたってそれはないよな、って。そしたら案の定そういうことかと、式場から移動したカラオケのシーンで納得。
ただし、それがどうして起きたことなのかは、なかなか明らかにしてくれない。「なかなか」というか、明文化できるような理由は最後まで描かれない。「はっきりさせる必要なんてない」と、劇中で語られるまさにそのままだ。
吉尾(成田凌)誰よりも優しくて、きっとその優しさを自分にも向けたいのに、他人へのそれとのバランスを取ることが苦手。だから「へらへら」しながら傷ついているけど、友人達からの優しさに気付ける才能の持ち主でもあるんだろう。だからみんな、彼のことがこんなにも好きで好きで仕方ないんだろうな。
欽一(高良健吾)仲間内では一目置かれているけど、彼が敵わないと思っているのは吉尾なんだろうと、言葉の端々から感じられる。お互いにイライラしながらも相手へのリスペクトも溢れちゃってるような、おでん屋のシーンが熱い。
他の4人とは違う後悔も抱える明石(若葉竜也)、いじられキャラ同士の絆を見せるソースこと曽川(浜野謙太)、生意気で失礼な言動に吉尾愛が隠しきれない大成(藤原季節)、二十歳過ぎて友達の家に泊まって「好きな人いる?」って会話を交わせるネジ(目次立樹)。
共通の友人の結婚式で余興を披露するという「現在」。そこでの会話や行動などを契機とする回想シーンは、出会いの16年前から始まる。その二つの時間軸が効果的に繰り返し切り替わりながら、だんだん「現在」に近づいてくる。
そして2年前のネジと田島の会話で、ついにはっきりと事実が示される。ここが見事に泣けるんだけど、その直後のミキエ(前田敦子)と田島の天才的な会話によって、いっきに泣き笑いに持って行かれるのが、さすがとしか言いようがない。
ミキエ、高校時代は掃除と分別に燃えてたけど、「幸せになった」今も、きれい好きなのかな。ウザ絡み陽キャ松岡(城田
優)も、後輩(四千頭身・都築)も、みんなみんな元気でいるのかな。
そんなこととか、長らく会っていない友人たちのこととかを思い浮かべながらのエンドロール、スペシャルサンクスの最後にあった「いつかまた会える友達に」をじんわり味わってたら、ずっと流れてた主題歌の『ゾウはネズミ色』がいつの間にかあの曲になってるのまで最高。

「また明日ねって、良いよな」
「ヨシオさん、〇〇まだっすか?」「今、どんどん〇〇のタイミング逃してるよ」「今ならまだギリ間に合うんじゃないっすか」
「いつもみたいにヘラヘラしようよ」

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