唯

ウェディング・シンガーの唯のレビュー・感想・評価

ウェディング・シンガー(1998年製作の映画)
3.5
けばけばしさが甚だしい装飾がごてごてと施され、国道沿いのラブホみたいなネオンとファッション。
ああ、80年代の映画ってつまらないよね、とテンションだだ下がりのオープニングだけども、この80年代映画は私達を裏切らない。

心優しく断れないタイプのロビーは、どれだけ腹が立っても怒れないのだろうなあ(世界的お人好しのアダムサンドラー)。
「私が愛してたのは6年前のロビーなの」と、婚約破棄されるのだが、6年前は彼がまだロック歌手として夢を追っていた頃。
夢を追う人間の方が格好良く見えるのは確かに事実。
だが、きっと彼女のために、彼女との人生を生きるために、ウエディングシンガーという仕事に就いているのだろうな、と思うとどうにも切ない。
好きな女のためなら人生を変えることすら厭わないのが男で、でもそんなことしてくれなくて良い!というのが女の本音(ある一時期に於いては)。
夢を追っている男が女は好きだ。

結婚式をバックレされてノイローゼのロビーは、いかれたやつらしく色々やらかす(この修羅場に立ち会いたい)。

デブで愚図な男子にも、誰に対しても分け隔てなく接し、彼らが生きやすい様にスマートに取り図るロビーの優しさ!
誰のことも敬い尊ぶ姿勢の誠実さが何よりの魅力。

ロビーは、ウエイトレス・ジュリアの結婚式の準備に付き合うことになり、2人は距離を縮めて行く。
誠実で心優しきロック歌手と、ピュアで気さくな少女。
彼の懐にすっと入って来る屈託のなさは、ドリューバリモアの持ち味。
アダム×ドリューのカップリングは、毎回期待を裏切らずに笑わせてくれる、無二の奇跡的カップル。
練習としてのキスでとろけちゃって、そこで互いへの気持ちに気付くのだから~~

ジュリアはロビーとの結婚を妄想して幸せに浸っているのだが、ウェディングドレスを着て微笑みを浮かべる彼女を見たロビーは切ない表情。
コメディアンのアダムサンドラーのね、切ない表情が秀逸なのよ。

二人の周りの人間が、天と地ほどの悪人ばかりで、そんな奴らに振り回されてすれ違い続けるとか最悪。
グレン、性格悪過ぎな上に不細工やん。

「愛する人を見付けたら逃すな」

ロージーおばあちゃんの歌が最高。
それを聴いて勇気を貰って駆け出すロビーもまた最高(高齢者に優しいかどうかは重要なポイント)。
「チャンネルは君に譲るから。皿洗いは僕に任せて。飲みすぎたら介抱するよ。一緒に年老いて行こう」と歌う、飛行機でのプロポーズが理想の全てを詰め込んでいる!!!
盛大な様でいて、ささやかな優しさの結晶(歌詞にもある通り、日常の小さな幸せを見付けられる人なのです)。
それが愛を深く強いものに仕上げる。
唯