こたつむり

3人の逃亡者のこたつむりのレビュー・感想・評価

3人の逃亡者(1988年製作の映画)
3.7
♪ この胸に抱いてた
  ひそやかな 悲しみさえ
  遠い夏の孤独な街並みは Blue

大衆娯楽の王様はアクション映画。
…なのかもしれませんが、それを支える基本はコメディ要素にあると思うんです。

笑って、笑って、時には泣いて。
その感情の振れ幅は、まるでジェットコースター。自分も登場人物の一人となって、物語の世界に浸る…それが映画に限らず映像娯楽の素晴らしいところではないでしょうか。

そして、本作はそんな基本に忠実な物語。
堅気になりたい元銀行強盗と、ドジな現銀行強盗とその娘。この三人の人生が交錯するとき、そこにドラマが生まれ、笑いと涙も自然とこぼれる仕組み。

特に獣医が出てくる場面は必見ですね。
正直なところ、ベタ中のベタなんですけど、どこまでが本気で、どこまでが冗談なのかが分からなくて、その微妙なバランスが面白いのです。

また、全般的にモラルに縛られていないのも吉。
犯した罪に相応して報いがある…それが一般的なルールなんですが、本作にはそれがないんですよ。これって地味にスゴイ話。なかなか挑戦的な姿勢です。

それが許された時代だったんでしょうね。
近年は芸能人にまで清廉潔白を求める風潮ですが、フィクションの世界にモラルを求めるほどナンセンスな話はありませんからね。製作者の覚悟さえあれば、何を描いても良いのです。

そんな中であえて難を言うならば。
マーティン・ショートが演じる役柄のドジさ加減が微妙なところ。彼にイラつくか、生温かい目で見守ることが出来るか…で評価は分かれるかもしれません。

ももももも勿論、僕は後者ですよ。
器の大きさで言えば「弩級」と称される僕ですからね。自分勝手すぎる彼の言い分に…耳を傾けるのは当然ですよ。ムキッ。

まあ、そんなわけで。
コメディの基本を押さえた“やさしい”物語。
全般的に“ふんわり”とした雰囲気なので、家族そろって楽しめる作品だと思います。

最後に余談というか、素朴な疑問。
本作のメインテーマ…どこかで聴いたことがあるような、ないような…。布袋寅泰さんの楽曲に似ているのかな…?うーん。
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