最初この映画を、レイフ・ファインズ主演の映画として観ていたがとんでもない。これはある意味群像劇だ。
手に付き、指に入り込んだ土汚れがどれほど洗っても落ちにくいものかは、仕事の都合上身をもって理解しているが、歴史を掘り起こし、今世に息づかせるという事は、非常に意義のあることだと思う。
サットン・フーというのは知らなかったが、出土した宝物を見て「あ、これかあ」と思う程度の物は確かに出てきている。
群像劇と言った所以は、戦争が背景にあることと、「それが背景にある時代に、歴史的に意義のある発見をした」登場人物たちの心境の多種多様さにある。
当事者たるエディス(演じたキャリー・マリガンは老けメイクで、バジル役のファインズより年上の人物を演じている)、彼女の幼い子供のロバート、ローリーやペギーと言った発掘作業に携わった人々もそうだ。
ペギーとローリーの淡いロマンスは「要るかな?」と少しだけ思ったけど、その背景ゆえに必要だと思えてくる。
ある意味、去年観て年間ベスト級によかった「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に少しだけ近いのかも。